欧米歌劇場でオペラを鑑賞する時のドレスコード

 

おしゃれには全く無頓着でめんどくさがりやのiltrovatoreからみた欧米歌劇場でのドレスコードに関する話題です。

 

わたしゃ、バイロイト音楽祭やシーズン初日のスカラ座など、ドレスアップが当たり前の晴れがましいオペラ公演に行ったことがありません。行ったことがあるのは、ウイーン歌劇場、バイエルン歌劇場、パリオペラ座、ROH、MET、サンフランシスコ歌劇場等の普通の公演です。

 

ですが、欧米の歌劇場のドレスコードはだいたいこんなもんだろう、という感覚は持つようになりました。上記の歌劇場での一般的な公演の場合です。全く個人的な感想です。

 

まずはウイーン歌劇場の正式サイトにでているドレスコードに対するQ&Aを見てみましょう。

 

Q:公演に参加する場合のドレスコードはあるのでしょうか?

 

A:他のお客様と至近距離で接触することもありますので、例えば靴を履かないとか、履いていてもビーチサンダル、上半身肌着、男性の非常に大きな穴の開いたジーンズや短パンなど、不備のある服装をなさっている方は有効なチケットをお持ちであっても入場をお断りすることがあります。またヘッドギアは後ろに座っている観客の視界を妨げる可能性がある場合は禁止です。   

(帽子・ターバン・フード・マスクなど頭部に装着する衣類の総称。)

 

要するに非常識な服装でない限り、普通のジャケットとかスーツで十分だということです。では実際どういう現状かというと、劇場によって多少異なります。

 

私的に一番ゴージャスに見えるのがバイエルン歌劇場。特にS席あたりですと、「あなたのドレスはオートクチュールね」と言いたくなるような、とっても高そ〜なドレスを着た御婦人方やタキシードを着た男性がそこそこいます。ただしそんなS席でも普通のスーツを着て座っていて違和感は全く無いと思います。

 

ウイーン歌劇場は観光客が多い為か、バイエルン歌劇場よりもスーツ姿が多めの印象。ROHもウイーン歌劇場と似たような感じがします。

 

パリオペラ座はとても庶民的。フツーで結構という感じで、バイエルン歌劇場あたりで散見されるゴージャスなドレス姿はあまり見かけなかったです。

 

MET、サンフランシスコ歌劇場はバライティーがある感じがします。要するに人それぞれでどのような洋服を着て行ってもそれなりに馴染んでしまう。しかしウイーン歌劇場のQ&Aにあるようなあまりにも非常識な服装はだめでしょう。

 

ただ観客の服装の傾向は高い席と安い席でやっぱり違います。歌劇場の最上階の後ろや立ち見席ですとジーンズ姿をよく見かけます。これはどこの歌劇場でも同じではないかなあ。

 

とはいえ、日本から欧米の歌劇場に行くというのは滅多にないことですし、女性の場合華やかに着飾って地元の観客から称賛の視線を浴びたいという思いを持つ方もおられることでしょう。そんな場合はやっぱり和服が一番だと思います。

 

なぜというに、欧米での美女の価値基準の一つは胸が豊かなことで、大柄で豊かな胸の欧米女性が胸元の大きく開いたシンプルなドレスを優雅に着こなしている姿はとても存在感があります。一方日本の女性は欧米の女性に比べ華奢で胸が無い人が多いです。洋服のデザインにもよりますが、いくら素敵なドレスを着て豪華なアクセサリーをつけても体型の違いは如何ともし難く、現地の方にはあまり魅力的に見えない可能性があります。

 

その点和服は怖いもの無し。和服は体型の弱みを補い、しかも圧倒的な存在感を周囲に放ちます。ただ注意したほうがいいのは和服の色合いです。欧米の伝統的な歌劇場は赤、黒、金を基調とした重厚な色彩で構成されていることが多く、しかも劇場全体が暗めです。そのため劇場内だと赤・黒基調の和服は目立ちにくく、パッと目に入る明るい色、特に水色・薄緑・黄色などの和服が映えると感じています。

 

日本では粋とされる地味で凝った着物は多くの欧米人にとって魅力があるようには思えません。日本の種々様々な着付けのルールなんて外人にわかるわけもないので、むしろ明るい色調、はっきりとした絵柄で、日本ではルール違反とされている歳に合わない派手な着物の方がアピール力があるかもしれません。もっともそんな着物を着るには歌劇場で遭遇する日本人の非難がましい視線を無視できる度胸を持つ必要があります。

 

とか書いてはいるものの、iltrovatore自身はどの歌劇場でも極々フツーのスーツかシンプルなワンピースで済ませています。

 

最後に気がついた点をいくつか。和服を海外に持ってゆく場合、洋服だけ持ってゆくよりワンサイズ大きいスーツケースが必要になるかもしれません。また冷房のない歌劇場は結構あって、夏シーズン歌劇場の中はものすごく暑くなります。着物が暑いからといって扇をパタパタすると嫌がられる場合もあります。それから後ろに座っている人の視界を遮らないよう、髪を高く結い上げないのはお約束でしょう。

 

(2024.11.19 wrote) おたく記事に戻る