古いニュース倉庫(2022)

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2023.12.31

★ 「海外歌劇場のシネマ&ストリーミング」のページにBSプレミアムのオペラ・声楽関係の情報を足しました。バイエルン歌劇場の下に出ています。

★ 今年の終わりのコンサート、来年は平和な年となりますように。

 

2022.12.30

Operawireの情報によると、ROHは2023に向けストリーミングの配信を発表。(サイトにはまだ掲載されていない)。 演目は

「椿姫」 出演:Pretty Yende, Stephen Costello, and Dimitri Platanias、昔っからのRichard Eyreの演出。2023.1.19

「フィデリオ」出演:Lise Davidsen and David Butt Philip. Tobias Kratzer演出 A.Pappano指揮2023.2.2

「蝶々夫人」出演:Maria Agresta, Joshua Guerrero, Carlos Álvarez, and Christine Rice.  指揮Nicola Luisotti 2023.3.23

 

https://operawire.com/pretty-yende-lise-davidsen-maria-agresta-headline-royal-opera-houses-2023-stream/

 

これ以降のストリーミング配信演目は3月23日に発表する。

 

一応海外歌劇場シネマ&ストリーミングのページ(ROHの項)に記載しておきます。 このページは適宜情報更新しています。

 

2022.12.28

ヨナス・カウフマンは12月29,30,31日にベルリン・フィルの”End-of-year concert”に出演します。キリル・ペトレンコ指揮、カウフマンは「運命の力」より"La vita è inferno all'infelice ... Oh, tu che in seno agli angeli"、ザンドナーイのオペラ「ジュリエッタとロメオ」より”Giulietta! Son io!”, 「アンドレア・シェニエ」より“Un di all' azzurro”、「カヴァレリア・ルスティカーナ」より“Mamma, quel vino è generoso”を歌います。

 

2022.12.24

ヨナス・カウフマンは昨日のミュンヘンのクリスマスコンサートで歌ったようです。次のベルリン・フィルとのコンサートまでにはなんとか体調を完全に戻してほしいですね。

 

2022.12.22

Operawireの情報によれば、ロイヤル・オペラ・ハウス (ROH)ではホリデイ週間に視聴可能なオンラインプログラムを追加しました。ROHストリーミングのサブスクライバー対象です。

https://operawire.com/royal-opera-house-expands-holiday-streaming-with-two-carmen-productions/

 

演目は2つの演出版「カルメン」(バリー・コスキ演出 及び フランチェスカ・ザンベッロ演出)とバレエ「くるみ割り人形」です。

フランチェスカ・ザンベッロ演出の「カルメン」はアントニオ・パッパーノ指揮、アンナ・カテリーナ・アントナッチ、 ヨナス・カウフマンが出演しています。METでの「椿姫」に続きカウフマンの名声を決定的にした公演です。

 

ただし、ROHのストリーミングサイトでこれらの「カルメン」公演はまだ掲載されていないみたいです。

 

https://youtu.be/V1dafrlt10w

 

2022.12.21

チューリッヒ歌劇場「トスカ」評論及び雑感

 

このサイトの「プロフィルー生い立ち、歌劇場専任時代”の項目」や以前のニュースで書きましたように、若きヨナス・カウフマンはザールブリュッケンの専属歌手になったものの深刻な声のトラブルを抱え、歌手を続けられるかどうかの瀬戸際でマイケル・ローズ氏に救われます。その後フリーとなった彼はいくつかの歌劇場で地道に歌っていました。

 

チューリッヒ歌劇場のgeneral director Alexander Pereira はそのような彼に目を止め彼をチューリッヒ歌劇場の専属歌手に招き入れます。この時カウフマンは多分32、3歳くらい。この歌劇場で彼はレパートリーを広げ、ご当地の花形スターとなり、世界の有名歌劇場に進出してゆきます。要するに世界的なスターテノールとしての彼の出発点はこのチューリッヒ歌劇場にあるのです。

 

チューリッヒからミュンヘンに本拠を変えて以降この歌劇場とすっかり疎遠になっていた彼ですが、最後にチューリッヒ歌劇場で「トスカ」を歌った時から13年たった本年、この歌劇場で再び「トスカ」を歌うことになりました。

 

しかも昔この歌劇場で歌った時と同じロバート・カーセンの演出。つい当時の公演と比べてしまうのですが、13年前のカウフマンは若い!スタイル良い! (映像・音楽、イタリアオペラ2の「トスカ」の項に当時の公演の動画がリンクされています。日本語字幕付き)。 

 

いくつかの評論を読むに、今回の公演は暖かく、または熱狂的に受け入れられた様で、「トスカはこうでなくっちゃ」というタイトルのNZZの評論 (NZZ 2022.12.16) によると「満員の観客を魅了した」「チューリッヒで彼の声を聞くことはまずなくなったが、彼は未だに多くのオペラ愛好家を魅了している」、そうです。

https://www.nzz.ch/feuilleton/opernhaus-zuerich-so-muss-eine-tosca-sein-ld.1717450?fbclid=IwAR2Pq-VYnQdyQgd5qI3Dq7EMO_osj23VxFRoar1UdXmGt70WbWZDMoIGK8Y

 

ただ「カウフマンはまだ完全に回復していないように見え、第1幕目の彼の声は少々曇り気味だった」と書いている評論もありました。(Online Merker 2022.12.16)  とはいえ2幕以降は問題なかったようで、とりあえずカウフマン復調した様です。

https://onlinemerker.com/zuerich-opernhaus-tosca-wiederaufnahme-tosca-du-laesst-mich-gott-vergessen/?fbclid=IwAR1XcnXTvgRirpWAOzHAPteYp_MKkPUiPlde1TGtG1tCGNhIfKi7k3X5cyE

 

一方この公演をものすごく詳しく書いているOperawire (2022.12.19) は、「ラドヴァノフスキー、カウフマン、ターフェルが三位一体となり素晴らしいパーフォーマンスを披露した(表現が大げさすぎる気がします、、、」「シンプルな設定と演出が、主要アーティストの絶対的な力量を際立たせている」と手放しの称賛。

 

Operawireの記事(https://operawire.com/opernhaus-zurich-2022-23-review-tosca/)での評価を極簡単にまとめると、

 

特にラドヴァノフスキーはすごくて「嵐のような大喝采をもらった」そうです。またカウフマンの「妙なる調和」「星は光りぬ」も大褒め、更に「“Vittoria! Vittoria!”の高音B♭は驚異的で永遠に響き渡るようだった」、と書いています。ターフェルも存在感抜群だったようで、この評論家は「以前ROHでこの役を歌ったときよりも今回のほうが遥かにダイナミックで印象的」と感じた様です。

 

更にForumopera(2022.12.20)(https://www.forumopera.com/tosca-zurich-deja-dans-la-legende)ではこの公演に酔いしれたと思われる評論家が、「この3人の共演を見ることは、オペラを越えて、伝説の中に数歩踏み込むことなのです。まさにオペラの至福と言うべきでしょう。」、と情緒的に超長文で主役3人を褒めまくっています。

 

その内容はOperawireと大体同じで、ラドヴァノフスキーを絶賛。(ちなみに、彼女は私が読んだ評論全てで大絶賛状態でした。) またカウフマンの歌の上手さ、印象的な”Vittoria!”などこまごまと、そしてターフェルの威圧的な存在感などについても言及しています。

 

カウフマンがカヴァラドッシを演じる「トスカ」はROHでのゲオルギュー、ターフェルとの共演でDVDになっていますが、今回の公演もレベルの高い感動的な良い舞台だったように思われます。DVDにしてくれれば嬉しいけれど多分してくれないでしょうね。

 

 

2022.12.17

チューリッヒ歌劇場のサイトに今回の公演の写真がたくさん出ています。

https://www.opernhaus.ch/spielplan/kalendarium/tosca/2022-2023/?share=18782&fbclid=IwAR215IRWFXXLT7iBrB-GRsAqLeiFJ5ix583jIRdS_QrneNxumKpZcBCyl14

 

2022.12.16

やれやれ、カウフマンは「トスカ」初日無事に出演したようです。

 

2022.12.15

ヨナス・カウフマン出演予定のチューリッヒ歌劇場「トスカ」本日から始まります。公演3回予定。

 

2022.12.13

ウイーン国立歌劇場「アンドレア・シェニエ」評論及び雑感。

 

Jonas Kaufmann, Carlos Alvarez, Maria Agrestaらによるウイーン国立歌劇場での「アンドレア・シェニエ」、4回の公演予定でした。昔ながらのオットー・シェンク演出。演出に問題がない再演だと歌手の歌唱に集中できるのがありがたい。ちなみにチケットは4回全部完売。

 

Iltrovatore自身はウイーン歌劇場でこれと同じ演出でカウフマン、ハルテロス出演の「アンドレア・シェニエ」を4年前に観ていますが、シェニエはカウフマンにぴったり合う役で見ても麗しく歌も良い。また観たいなあ、、、、、

 

カウフマン、今回は最初の回こそ出演したものの2、3回めは病気キャンセルしたので心配していましたが最終回は出演し、ほっとしました。

 

評論はたいして出ていません。もともと再演だし、カウフマンもすでに同役をこの劇場で歌っているし、、、評論家にとって新味がなく、評論を書くのも難しいのでしょう。

 

というわけで、とりあえずonlinemerker (2022.11.30)の評論を読むと、「カウフマンは高音をだすのが難しそうで、その声は輝かしさがいくらか欠けている」とか書かれていまして、初日から既に喉の調子が良くなかったと推察されます。個人的な印象ですが、調子の悪い時のカウフマンの声はいくらかハスキーになり、高音を出すのに努力しているように見える気がするのです。今回もそんな感じだったのかな?

https://onlinemerker.com/wien-staatsoper-andrea-chenier-wiederaufnahme/?fbclid=IwAR1xm6Or9m8epuy7X64qhQQLQtgxLVDNpaXTGboXXAd0APMkrc-ZrPiJBYQ

 

しかし「彼とアグレスタの息はピッタリあっている」「ベルベットのようで魅惑的そして夢みるような暗いトーン、役作りも素晴らしいし魅力的」「最後に彼への花束が舞台に投げ込まれた。こんな風景は長いこと観たことがなかった。」と記されています。

 

と書いたところで、Olyrix (2022.12.12)がカウフマンの出演した4回目の公演批評をしていることに気が付きました。「カウフマンは豊かで質感のあるドラマティックな音色でこの不運な詩人を明快に表現する。」「ゆとりと知性を持ってこのドラマチックな人物を表現している。」「観衆は立ち上がり拍手喝采を送っていた。」」等など好意的な書き方でした。共演者やオーケストラも良かったらしいし、彼の声の調子も戻ったのでしょう。

https://www.olyrix.com/articles/production/6369/andrea-chenier-giordano-9-decembre-2022-article-critique-compte-rendu-lanzillotta-schenk-glittenberg-canonero-kaufmann-petean-agresta-signoret-houtzeel-bohinec-arivony-lee-park-bankl-giovannini-osuna-pelz-pelz-park-wiener-staatsoper-opera-etat-vienne

 

2022.12.11

Jonas Kaufmannの次の予定はチューリッヒ歌劇場での「トスカ」、12月15日より3公演予定。状況が変わったためか彼は再びこの劇場のオペラに出演するようになりました。昔、30歳代のカウフマンはこの劇場のアンサンブルメンバーとして活躍し、この歌劇場から世界へ羽ばたいていったのです。(参考:「プロフィル/生い立ち」の“生い立ち、歌劇場専任時代”の項目)

 

彼は2009年にこの劇場でこの演出の「トスカ」を歌ったことがあります(下の動画)。その時はエミリー・マギー(トスカ)とトーマス・ハンプソン(スカルピア)が共演していました。今回はSondra Radvanofsky, Bryn Terfelと一緒に歌います。

https://youtu.be/p8PzuoAEoPQ

 

2022.12.10

ウイーン歌劇場「アンドレア・シェニエ」最終公演、カウフマン出演しました。体調が戻ったようで良かったです。

 

2022.12.7

カウフマンは6日の公演もキャンセル。Luciano Ganciが代役です。

 

2022.12.6

ヨナス・カウフマンの最近のインタビューを読んで。 

 

ヨナス・カウフマンがザルツブルクに居を移し、オーストリア市民権をとったことは以前報告しました。彼はプライベートをコマコマと公にはしませんがザルツブルクに移った理由についていくつかのインタビューで語っていて、

 

「当初はウイーンに住むことを検討したが、結局難しいと判断した」(1)。

 

「(先妻さんとの)3人のお子さんたちも大きくなり皆ミュンヘン近郊に住んでいて、ザルツブルクはウイーンよりもミュンヘンに近い、などの理由からザルツブルクに住むことにした」 (2) そうです。ちなみにミュンヘンとザルツブルク間は電車で1時間半位の距離です。

 

これからカウフマンがウイーンやザルツブルクで歌う機会も増えることでしょう。なにせザルツブルクには元バイエルン歌劇場総裁で懇意だったNicolaus Bachlerがいるし、ウイーン歌劇場の音楽総監督はPhilippe Jordanだし (でもJordanは契約を延長しないのですよね。残念)。

 

反対に、バイエルン歌劇場での出演状況がどう変わるかiltrovatore的には気になるところです。バイエルン歌劇場はSerge Dorny、Vladimir Jurowski体制になってやはり少々感じが変わったような気がします。 

 

(1) Die Salzburgerin

https://www.diesalzburgerin.at/musik-transportiert-emotionen/?fbclid=IwAR0mOYNiOg8zYQ9yPlaf54nYN-qE-l-SAEdiOmNn5RAkVNenTliLPrB15cY

(2) Salzburger interview 2022.11.3

https://www.salzburger.online/interview-mit-jonas-kaufmann/?fbclid=IwAR16BM1fAR8IrFfiHc_akjyLyHWnjYrnoNeYQLb3bdSTAh-RPEvyAPLplwA

 

2022.12.4

あれまあ11月30日から始まった「アンドレア・シェニエ」ですが、12月3日の公演は病気によりキャンセル。代役はStefano La Colla、今年日本の春祭で「トゥーランドット」の カラフを歌ったテノールです。

 

2022.12.3

ウイーン歌劇場での「アンドレア・シェニエ」が始まりました。Jonas Kaufmann, Maria Agresta, George Petean出演。昔っからのおなじみ演出です。

2022.11.28

★ ウイーン歌劇場ストリーミング予定が来年6月分まで出たので、「シネマ&ストリーミング予定ページ」に追加しておきました。残念ながら本年度の目玉公演、カウフマン・ネトレプコ・ガランチャ等が出演する「アイーダ」は現在のところストリーミング予定なし。

 

★ 英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23が日本でも上映されることになりました。今年はオペラ7本とバレエ6本です。2022年12月9日より2023年9月28日まで、各一週間限定で全国公開。この情報も「シネマ&ストリーミング予定ページ」に追加しておきました。

 

オペラは「蝶々夫人」、「アイーダ」、「ボエーム」、「セヴィリアの理髪師」、「トゥーランドット」、「フィガロの結婚」、「イル・トロヴァトーレ」

 

詳しくはこちら。http://tohotowa.co.jp/roh/       https://youtu.be/7a0ebnxiF9g

 

2022.11.27

本日夜、ORFIIIでウイーン歌劇場より ”Licht ins Dunkel” 50年記念ガラ・コンサートが放送されます。Jonas Kaufmann, Patricia Nolz, Maria Nazarova and Erwin Schrottその他が出演。日本では観られないでしょう。

 

2022.11.26

11月30日よりウイーン歌劇場でJonas Kaufmann, Carlos Alvarez, Maria Agrestaらによる「アンドレア・シェニエ」が始まります。昔むかしから受け継がれているオット―・シェンクの演出です。大いなるマンネリも良きかな。https://youtu.be/kvwYLK4BHWs

 

2022.11.21

2021年 Napoli Teatro di San Carloで上演された「オテロ」がストリーミングされています(詳細:https://www.altrodime.it/rivedere-otello/)。出演はJonas Kaufmann, Maria Agresta, Igor Golovatenko。ちなみに同劇場でで行われた2020年の「カヴァレリア・ルスティカーナ」(演奏会方式)も同じサイトから見ることができます。こちらもElīna Garanča、Jonas Kaufmann、Claudio Sgura、Elena Zilio、Maria Agrestaという豪華キャストでした。登録は無料ですが、視聴には課金されます。視聴はこちらから。ちなみに私はまだ観ていないです。https://www.on.teatrosancarlo.it/home 

 

2022.11.19

2022年11月23日(水)午後6時より、Annaberg-Buchholzの聖アンネン教会で、ヨナス・カウフマンが出演するクリスマスコンサートが収録されます。(クリスマスイヴにZDFで放送予定、ちなみに日本では視聴できないと思います)。

クリスマスキャロルばかりでなく多様なプラグラムで演奏予定。ディアナ・ダムラウやルネ・パーペその他多彩な音楽家ゲストが共演。(詳細はこちら)

https://www.lifepr.de/pressemitteilung/erzgebirgische-theater-orchester-gmbh-annaberg-buchholz/Weihnachten-im-Erzgebirge-mit-Jonas-Kaufmann/boxid/925069?fbclid=IwAR2N-Oz04uhIHt2jmRVdDI1wxAb_xYhdNGre963S7LmcXfLZUMdYnfemxUI

 

2022.11.17

ヨナス・カウフマンの新しいスケジュール

Doppelganger 

Park Avenue Armory, New York, 2023.9.22, 23, 26, 27,28  (詳細) 公式サイト未掲載

クラウス・グスによるフランツ・シューベルト作曲「白鳥の歌」の再構築作品

 

情報&スケジュールのページに記載しておきます。

 

2022.11.12

OsterfestspieleSalzburg 2023から「タンホイザー」の宣伝が出てきました。以前バイエルン歌劇場で上演されたRomeo Castellucciの演出。指揮はおなじみAndres Nelsons。カウフマンはタンホイザー初ロール、ヴォルフラムがクリスチャンゲルハーハ、エリザベスがマルリス・ペーターゼン、ヴェヌスがエリーナ・ガランチャという豪華絢爛な歌手たち。

https://youtu.be/ekbZj0qOIzI

 

2022.11.4

公演と公演の間。まあ好きな趣味を楽しんでいますね。

 

皆様御存知のようにカウフマンはコーヒーが大好きで、自分の家にもコーヒーマシンを置いて楽しんでいますが今回はお気に入りのカフェでエスプレッソを入れさせてくれたようです。 バックに流れるのはグノー「ロミオとジュリエット」、ロミオのアリア「ああ、太陽よ昇れ」。

 

https://twitter.com/tenorkaufmann/status/1587457631853035520

 

2022.11.1

以前書きましたように、ROHが新しいstreaming platformを始めました。

このサービスでは45プロダクションと85のbehaind-the-scenesを見ることができます。一月契約は9.99ポンド、一年契約は99.99ポンドです。いつでもやめられます(詳しくはこちら)。内容は毎月追加されてゆくようですが現在見ることのできる公演等はこちらでチェックできます。

 

とりあえず2022.11.1現在ストリーミングで観ることのできるオペラは以下。バレエは除きます。

 

椿姫 (2019): Ermonela Jaho, Charles Castronovo, Placido Domingo

トスカ (2011):Angela Gheorghiu, Jonas Kaufmann, Bryn Terfel

ボエーム( 2020):Sonya Yoncheva, Charles Castronovo, 

アンナ・ニコレ (2011):Eva-Maria Westbroek, Gerald Finley

Written on Skin (2013):Barbara Hannigan, Christopher Purves

マノン・レスコー (2014): Kristine Opolais, Jonas Kaufmann, Christopher Maltman, Maurizio Muraro

 

Behid the scenes, Insightsのコンテンツは様々な歌手等が出演。なかなかおもしろいものもたくさん。

これらの情報は「海外歌劇場シネマ&ストリーミング予定」のページ、ROHの項目に入れておきます

 

2022.10.31

バイエルン歌劇場「西部の娘」評論を読んで

 

ヨナス・カウフマンはバイエルン歌劇場での「ピーター・グライムス」を終えた後「西部の娘」のディック_・ジョンソン」を歌いました。ミニー役はマリン・ビストレム、ジャック・ランス役はクラウディオ・スグーラです。

 

今回の「西部の娘」は再演で、iltrovatore的に見ればまあ普通レベルの演出 (この演出は以前見たことがあります)。もともとこのオペラはプッチーニ作品の中でも人気があるわけでは無いし、カウフマンがジョンソンを歌うのもウイーン歌劇場、METに続いて3度目。新たな話題もないので人々の興味も引かないのか評論もあまり出ていません。そのうえ粗筋が多くの部分を占めるような評論もあり、今回の評論レベルはイマイチかなあ、、、

 

カウフマンに関してはやはり最後のアリア"Ch'ella mi creda"がとても印象的であったらしく、

「胸が張り裂けるように歌った」(Klassik begerstert:2022.10.25 https://klassik-begeistert.de/la-fanciulla-del-west-giacomo-puccini-bayerische-staatsoper-nationaltheater-muenchen-23-oktober-2022/) 

「三幕のこのアリア("Ch'ella mi creda")で、ついにヨナス・カウフマンのヨナス・カウフマンたるすべてを聞くことができる。それはコントロールされたパワー、ベルベットのような声、激情、絶望、愛、勇気などで、彼は自分が殺人など犯していないことを言明している。(L’Ape musicale 19/10/2022 https://www.apemusicale.it/joomla/it/recensioni/70-opera/opera-2022/13664-monaco-di-baviera-la-fanciulla-del-west-16-10-2022)

などと書かれています。

 

今回はミニー役のマリン・ビストレムがとても良かったらしく、ヨナス・カウフマンとともに非の打ち所なし、というような最高レベルの賛辞がいくつかの評論に出ていました。

 

 

ランス役のクラウディオ・スグーラは恐ろしく背が高く威圧的で舞台での存在感は抜群、しかもパワフルなボイス。理想的な「悪役」として彼もいくつかの評論で好評でした。

 

2022.10.29

バイエルン歌劇場での「西部の娘」公演は無事に終了しました。ヨナス・カウフマンの次の公演は11月30日から始まるウイーン歌劇場「アンドレア・シェニエ」です。彼がすでに何回も歌っているシェニエですが(実はiltrovatoreもウイーンとバイエルンですでに見ている)、今回は新たにカルロス・アルバレスとマリア・アグレスタとの共演です。

 

https://twitter.com/tenorkaufmann/status/1585962726278447105

 

ヨナス・カウフマンからのメッセージ

今夜がバイエルン歌劇場での「西部の娘」の最終公演になります。僕のキャリアーをサポートしてくれるばかりでなく、オペラ全体に対するミュンヘンのサポートに感謝致します。(オペラという)芸術が生き延びるためには観衆が歌劇場に戻ってきてくれることが極めて重要なのです。

 

2022.10.24

 

カウフマンのツイッターより。「西部の娘」公演

 

2022.10.17

バイエルン歌劇場で「西部の娘」公演が始まりました。

 

2022.10.14

本年のOPUR KLASSIK、ヨナス・カウフマンは “Liszt – Freudvoll und Leidvoll”で”Singer of the Year”、そして “Die Tote Stadt”で“Opera Recording of the Yea”r選ばれました。

 

2022.10.12

ヨナス・カウフマンの2022/23年度オペラ出演公演の予定が画像入りで出ています。

 

2022.10.11

スカラ座での「アンドレア・シェニエ」のカウフマン出演公演日が確定されました(彼の正式サイトに掲載)。2023.5.24 & 27です。5月21日がコンサートツアー(フランクフルト)の最終日ですので、すごい過密スケジュールです。スカラ座が強引に日程をねじ込んだという想像しかできない。

 

2022.10.10

OPUS KLASSIK Galaに出演する途中のカウフマン。ガラは本日ZDFTVで放送予定。

 

2022.10.9

バイエルン歌劇場「ピーター・グライムス」公演に関する評論を読んで

 

ヨナス・カウフマンは本年1月ウイーン歌劇場で初めて「ピーター・グライムス」を歌いました。このオペラの主人公ピーター・グライムスは英雄や愛一筋の青年役が多いテノールにとって珍しく暗く重苦しい役で、演ずるのが難しい。ピーター・グライムスは結局子供2人を死なせてしまう児童虐待者で極悪な加害者なのか? はたまた社会から排斥され、精神的に極限まで追い込まれ、絶望の果に自死させられた被害者なのか? 

 

そんなピーターはカウフマンにとってチャレンジングで魅力的なキャラクターであったろうと想像しています。カウフマンは「彼が難しいキャラクターであることは確かだが、自分が思うにやはり加害者というより被害者だ」 (BR KLASSIK,2022.9.22)、と語っていますが、今回の公演もその路線で歌ったらしい。

 

「演技は人間的でキャラクターの痛ましさを誇張すること無く、ピーターの苦しみと苦悩を素直に表現している。」「中音域は叙情的で密度が濃く、高音は硬質、低音域は絶望と内省的瞬間をたくみに表現している」と評されています。(Olyrix,2022.10.1)

 

またこの難しいキャラクターの心の変化をフォルテシモからピアニシモを自由自在に使いこなしながら表現する巧みさは何人かの批評家も褒め称えていて、

 

「カウフマンはこの分野で第1人者であることを見せつけた。・・・・・・・・・カウフマンは大合唱の場面では村の共同体に対して力強く自信に満ちた歌い方をするが、一方ピアニッシモを限界まで使って色彩感豊かに濃密なパッセージを歌う。彼の演技も、それに劣らず説得力がある。彼は偉大な英雄や恋人だけでなく、絶望的なアンチヒーローの役者としても才能がある。」(Klassik Begeistert 2022.9.22) 

 

「最初カウフマンは自信たっぷりに歌っていたが、ピーターの妄想がいや増してゆくに伴い歌い方はどんどん弱って行き演技と歌が溶け合っていった。」(Suddeutsche Zeitung 2022.9.22)。と書かれています。

 

共演者のRachel Willis-Sørensen (Ellen Orford役)、Christopher Purves (Balstrode)も問題なく良い評価。その他のマイナーロールを歌った歌手たちも好評。合唱とオーケストラも良かったようです。全体として非常にレベルの高い公演だったように思われます。

 

BR KLASSIK,2022.9.22

https://www.br-klassik.de/aktuell/news-kritik/interview-jonas-kaufmann-peter-grimes-bayerische-staatsoper-wiesn-oktoberfest-2022-100.html?fbclid=IwAR2ZOaPbgsAt0Gy_TR0au-KENFe5KciSQVeGklPRY_2LZ6ulCCzkZcirC7o

 

Olyrix 2022.10.1 

https://www.olyrix.com/articles/production/6148/peter-grimes-britten-opera-etat-baviere-munich-compte-rendu-critique-27-septembre-2022-nielsen-herheim-bialas-bauer-moller-krasting-dorzenbach-fagone-jonas-kaufmann-sorensen-purves-bickley-ohse-gilford-conners-bankl-johnston-esper-plumb-noyola-schudel?fbclid=IwAR01vLr3xPZqXi6tjvWr0qE7pWUeNzEitD_1adopEc-TqF0KQI1YFKEGN-w

 

Klassik begeistert 2022.9.22

https://klassik-begeistert.de/peter-grimes-benjamin-britten-bayerische-staatsoper-21-september-2022-wiederaufnahme/?fbclid=IwAR172l2MkL7ft-r9mPoVT9TzrSu84g86owXumfHHHKZqgLQa4vTvT2d3Zys

 

Suddeutsche Zeitung 2022.9.22 von Klaus Kalchschmid

 

https://www.sueddeutsche.de/muenchen/jonas-kaufmann-bayerische-staatsoper-muenchen-peter-grimes-1.5661979?fbclid=IwAR042CADUIDPWbEqsQDuWf2Rm-0_R8ggxY21gllllr7aaln5LaFeeILeLnQ

 

2022.10.5

ROHが新しいstreaming platformを始めました。

このサービスでは45プロダクションと85のbehaind-the-scenesを見ることができます。一月契約は9.99ポンド(1600円程度)、一年契約は99.99ポンドです。いつでもやめられます(詳しくはこちら)。https://www.roh.org.uk/stream/offer

内容は毎月追加されてゆくようですが現在見ることのできる公演等はこちらでチェックできます。

https://www.roh.org.uk/stream

カウフマン出演演目としては今の所2014年「マノン・レスコー」くらいか。

 

2022.10.2

ヨナス・カウフマンは6月24日にバイエルン州より、BAYERISCHEN VERFASSUNGSORDEN (バイエルン州憲法勲章とか訳すのかなあ、よくわからん) を授与されました。

とはいえコロナのせいで実際に受賞を受けたのは9月30日。

 

2022.9.28

ウイーン歌劇場、バイエルン歌劇場からのストリーミング予定が更新されています。随時「海外歌劇場のシネマ&ストリーミング予定」のページに掲載していますので、興味のある方は御覧ください。バイエルン歌劇場の冬季予定を見ると、カウフマンが出演する「ピーター・グライムス」「西部の娘」はストリーミングしないようですね。

 

2022.9.25

バイエルン歌劇場「ピーター・グライムス」写真が出てきました。

 

2022.9.23

最近のインタビュー記事を読んで 

 

コロナ禍の間くらいからカウフマンはイタリアの歌劇場で歌うことが多くなっています。今年度もナポリのサン・カルロ劇場で「ワルキューレ」を歌う予定になっていますが(2023年4月)、最近の新たな発表によると今度はモナコのモンテカルロ歌劇場で「アンドレア・シェニエ」を歌う(2023年2月) と発表されました。モンテカルロ歌劇場の来年度のパンフレットに彼のインタビュー記事が載せられています。

 

このインタビューではいくつかの事柄を簡単に語っていますが、その一つ。

「オペラのキャリアーを作り上げる上で絶対に欠かせないのは然るべき場所で然るべき人と出会うこと」、として、「ペレイラと出会ったこと、ミュンヘン歌劇場のオーディションで断られたけれどもその時同席していたシカゴのキャスティングディレクターが僕を採用してくれたこと、などが現在の国際的なキャリアーのスタートに重要であった」と述べています。

詳しくは (こちら:モンテカルロ歌劇場 2022/23プログラム p29) 

https://2023.opera.mc/medias/content/2023/omc_brochure-saison-2022-23_web.pdf?fbclid=IwAR3LIZVx0Qwc-0zFhMKeopRMMwWhD7iChD1jpuiYYLQGaLMmTJgTNZcSYPc

 

ちょっと解説:若きカウフマンはザールブリュッケン歌劇場のアンサンブルを辞めた後フリーランスをしていましたが、チューリッヒ歌劇場のGeneral Director Alexander Pereiraに見いだされ、この歌劇場のアンサンブルになります。この歌劇場でカウフマンは大人気テノールとなり、評論家たちの注目を浴びます。

 

2001年にシカゴリリックオペラのGeneral Director William Masonは彼を「オテロ」のカッシオ役として招きます。これがカウフマンのアメリカでのオペラデビューとなります。このアメリカデビューから5年後、MET「椿姫」のアルフレードを歌いカウフマンは世界的な歌手としてブレークします。

 

また、現在バイエルン歌劇場で「ピーター・グライムス」公演中で、BRKlassikとのインタビューが出ています。こちらもいくつかの話題が出ていましたが、ピーター・グライムスのキャラクターに関して、

「彼が難しいキャラクターであることは確かだが、自分が思うにやはり加害者というより被害者だ」

と語っています。詳しくは (こちら:BRKlassik 2022.9.19 von Kathrin Hsselbeck)。まあグライムスについて彼は以前から似たようなことを言っていた記憶がありますが、今一度リマインダーとして。。。

 

https://www.br-klassik.de/aktuell/news-kritik/interview-jonas-kaufmann-peter-grimes-bayerische-staatsoper-wiesn-oktoberfest-2022-100.html?fbclid=IwAR2ZOaPbgsAt0Gy_TR0au-KENFe5KciSQVeGklPRY_2LZ6ulCCzkZcirC7o

 

2022.9.22

バイエルン歌劇場で始まった「ピーター・グライムス」、カウフマンは「現代作品、少なくとも戦後の作品です。」「僕のBritish Englishを聴きたい方はどうぞ」と言っています。

 

2022.9.20

明日からバイエルン歌劇場でJonas Kaufmann 主演で「ピーター・グライムス」が始まります。

 

2022.9.13

★ 9月に入りヨーロッパ歌劇場のストリーミング情報が入ってきました。現在ウイーン歌劇場ではガランチャ・ベチャワ・タリアビーニの「カルメン」streaming中。バイエルン歌劇場は9月16日にOpera fur alleコンサートstreaming予定。ヨンチョバとトマーゾが歌います。おそらくオンデマンドがある可能性が高い。「海外歌劇場シネマ&ストリーミング予定&新国立歌劇場公演」ページの「ウイーン歌劇場」「バイエルン歌劇場」から入れます。

 

★ヨナス・カウフマンはルドヴィック・テジエとともにFestspiel Baden-Baden25周年のオープニングコンサートで歌います。

2023年1月8日開催

ヴェルディ、プッチーニ、ポンキエッリの有名なオペラの二重唱を歌う予定。(こちら)

https://www.festspielhaus.de/veranstaltungen/jonas-kaufmann-ludovic-tezier/?date=2023-01-08-1800

 

2022.9.1

記事/評論:Arena di Verona 「アイーダ」

 

ヨナス・カウフマンは昨年の夏ガラ公演でArena di Veronaにデビューしました。今年は一回だけの公演でしたが本格的なオペラデビューで、フランコ・ゼッフィレッリのエジプト絵巻とも言える豪華な演出のもと「アイーダ」のラダメスを歌いました。

 

Arena di Veronaは古代ローマ時代の円形闘技場の遺跡で通常は16,000人の観客を収容できるそうです(1)。今回のカウフマン出演公演に実際どのくらいの観客を入れたかはわかりませんが、どの席もすべて完売で (2)、観衆の期待は大きかったようです。

 

皆様すべてが期待する"Celeste Aida"は期待通りでアリアの最後は下の動画でわかるようにいつもの完璧な「ピアニッシモ、クレッシェンド、再びピアニシモ、モレンド」(参考iltrovatoreによる「清きアイーダ」考)。近年アレーナで聴いたものの中で最高と言っている評論家もいました(3)。

 

(はて、音響効果が非常に良いとはいえ、16,000人を収容できる巨大な野外劇場の全席で彼のピアニッシモがきれいに聞こえるのでしょうか?聞こえれば素晴らしい)

 

またカウフマンのパーフォーマンスは3幕4幕と進むにつれて更に良くなっていったと評されています(2)。

 

指揮者のダニエル・オーレンはとてもほめられていましたし、アイーダ役のマリア・ホセ・シーリは参考にしたいくつかの評論すべてで好評。アムネリス役のオレーシャ・ペトロヴァも良い評価。女性歌手に対し男性歌手の評価は(カウフマンを除き)いまいちといったところです。

 

ちなみに、ヨナス・カウフマンは来年もArena di Veronaのガラ公演で歌う予定です(2023.8.20)。

 

(1) アレーナ・ディ・ヴェローナ、Wiki、最終更新 2022年5月13日 (金) 14:10

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%8A

(2) Connected to the Opera 2022.8.29 per Jabio Laraverre

https://www.connessiallopera.it/recensioni/2022/verona-arena-opera-festival-2022-aida-cast-alternativo-con-jonas-kaufmann/

(3) OperaClick 2022.8.31 per Martino Pinali

https://www.operaclick.com/recensioni/teatrale/verona-arena-3%C2%B0-cast-alternativo

 

2022.8.31

ヨナス・カウフマンの新たな公演予定。

「ラ・ジョコンダ」コンサート形式

2023年8月9日&12日、シドニー、

 

サイオア・ヘルナンデス、リュドヴィック・テジエが共演という豪華な公演。カウフマンはEnzo Grimaldoを歌います。彼の初ロールです。「情報&スケジュール」ページに追加しておきました。

 

2022.8.30

★ Arena di Veronaでの28日の「アイーダ」は無事に上演されました。 ヴェローナの天気は上演時間付近が「雷雨」!となっていたので心配していたのですが、良かったです。

 

以下にカウフマンが出演した今回のアイーダのちょっとした動画が出ています。”Jonas Kaufmann, a super Radames for Aida at the Arena”というタイトルになってます (こちら)。豪華で素晴らしかったようで、観たかったなあ。

https://www.ansa.it/sito/videogallery/spettacolo/2022/08/29/jonas-kaufmann-un-super-radames-per-aida-allarena_5be5ce16-f9a8-43e4-a6c9-9cd54b603636.html?fbclid=IwAR0kwHmO8oSxBdocLmf_yethm5m84vkEeuUM9fUOGiNy0zQmPJf8jj3nlCI

 

 

★ Arena di Verona 2023でのJonas Kaufmannによるガラのより詳しい?内容が発表されました (Operawire)。公演は8月20日。3つの異なったオペラから3つの幕をやるそうで、なんでもこのやり方は the great open-air theatreの伝統的なやり方なんだそうです。

https://operawire.com/details-for-jonas-kaufmanns-2023-gala-at-arena-di-verona-announced/

 

2022.8.28

Jonas Kaufmannは “Liszt:Freudvoll und Leidvoll”で本年のOpusKlassikのSinger of the Yearを受賞しました。

 

2022.8.27

ヨナス・カウフマンは8月28日Arena di Veronaでの「アイーダ」でラダメスを歌いますが、アイーダ役の Liudmyla Monastyrskaが降板し、第約がMaria José Siriとなります(Operawire)

https://operawire.com/arena-di-verona-announces-cast-change-for-aida-2/

 

2022.8.26

★ Jonas Kaufmann 来年5月のコンサートツアー予定が正式サイトに発表になりました。この予定ですとツアー終了は5月21日となり、スカラ座の「アンドレア・シェニエ」(5.3〜5.27)に出演可能なのは5月24日と27日しかありません (情報&スケジュール参照)。カウフマンはシェニエを何回も歌っていますがスカラ座のシェニエ演出はまだ経験がありません。このような状況でスカラ座に出演するかどうかえらく疑問。ちなみにスカラ座の「アンドレア・シェニエ」のサイトにはJonas Kaufmannの名前がまだ出ています。

 

★ ファドゥーツでのコンサートが終了し、次は28日Arena di Veronaでの「アイーダ」です。Jonas Kaufmannがこのように豪華絢爛な舞台でラダメスを歌うのを観たいものです。雨が降らないといいですね。  https://youtu.be/5O6IjnCjeqg

 

 

2022.8.23.

カウフマンはWiesbadenでRachel Willis-Sørensenと一緒にオペラやオペレッタのアリア、二重唱を歌いました。その時バリトンの有名なアリア「道化師のプロローグ」を歌ったということです。ただしこれは単に彼がこのアリアが好きだからということだそうです。聞いてみたかった!

https://www.fr.de/kultur/musik/jonas-kaufmann-in-wiesbaden-schaut-her-er-ist-91739875.html?fbclid=IwAR0ySLLPM03JDEImomCsCZlEj7QJOMW_Re8uwnipfCX3sJBK3fmOBLGRj4I

 

ちなみにテノールの役以外で彼が歌うのを夢見るのは「トスカ」のテ・デウム(バリトン)と「薔薇の騎士」のオックス(バス)とどこぞのインタビューで語っていた記憶があります。(ただしオペラ公演で歌うとは決して言っていない)

 

2022.8.19

コンサート形式「フィデリオ」 於Gstaad & Grafenegg 評論などまとめ

 

コンサート形式のオペラ「フィデリオ」がGstaad Menuhin FestivalとGrafenegg Festivalで開催されました。両方とも同じ歌手が出演。 Grafeneggは完売。

 

今回は(オペラ歌手ではない)俳優のPeter Simonischekがロッコ役となり、事件から4年後、この事件を回想して語るという場面が挟まれているバージョン (Walter Jens版) でした (1)。この役者の語り口が印象的であったらしく複数の批評家が褒めていました。

 

当初レオノーラ役にはAnja Kampeが予定されていましたが、それがSimone Schneiderに変更され、そして土壇場でSinéad Campbell-Wallace に代わりました。「フィデリオ」のレオノーラはフロレスタンと同様非常に歌いにくく難度の高い役として知られていますが、彼女の歌唱は

 

「素晴らしい輝きをもち、その響きは柔らかく、低音から高音すべてが卓越したレオノーラを彩ることに貢献していた」 (2)、

「カーテンコールでカウフマンよりも多くの拍手をもらっていた。・・・その歌唱は最初から最後まで見事」(3) と、高い評価を得ていました。

 

さてカウフマンですが絶好調だったようでここに出した3つの評論全てで好評 (ただし彼は第2幕しか出ていないが)。特に第2幕最初、ピアニッシモからクレッシェンドされてゆく“Gott! Welch dunkel hier!” は聴衆を魅了し強い印象を残したようです。

 

ところで“Gott! Welch dunkel hier!”の出だしをピアニッシモで始める歌い方はレナード・バーンスタインのもと、ルネ・コロが始めたそうです (https://klassik-begeistert.de/ludwig-van-beethoven-fidelio-konzertante-auffuehrung-wolkenturm-grafenegg-13-august-2022/?fbclid=IwAR2yVQBpVJ67Pxy0sCfaNyhX4NXa7uv-KnFd3FuBRgtWUbpSwIXIngS0NHA)

 

その他の歌手たちもすべて良く観衆を満足させた公演だったようです。

 

(1) Der Standard  2022.8.14  von Stephen Ender

https://www.derstandard.at/consent/tcf/story/2000138275061/grafenegg-beethoven-bringt-kaufmann-und-simonischek-zusammen?ref=rss&fbclid=IwAR30VximfPaJmbXMuwnlWeCR0cIuD4Egvu0KUT5eoCsKhzsoGyKUbBui04c

(2) Olyrix 2022.8.14 par Pierre Géraudie

https://www.olyrix.com/articles/production/6030/fidelio-beethoven-tente-festival-de-gstaad-11-aout-2022-article-critique-compte-rendu-jonas-kaufmann-wallace-winckhler-struckmann-kanabas-landshamer-grahl-simonischek-choeur-philharmonique-tcheque-brno-fiala-orchestre-zweden?fbclid=IwAR1ufPBLm9avLsPlhD-fNnQrdm4svqDSZWPFHKZw_0dzBJ1m4ccKmutdPHE

 

(3) Opera Online 2022.8.15 par Emmanuel Andrieu

https://www.opera-online.com/fr/columns/manu34000/jonas-kaufmann-en-grande-forme-dans-fidelio-au-gstaad-menuhin-festival?fbclid=IwAR3wF_tbVzxKlwnfx1YOG574qsMzTn6_tBk5ADXftP5DkC1EGwotHwK0m7E

 

2022.8.16

カウフマンの次のコンサートはWiesbaden (21日)とVaduz (25日)でRachel Willis-Sørensenと一緒にオペラやオペレッタのアリア、二重唱を歌います。

 

2022.8.14

BBCニュース “Zeinab Badawi meets German tenor Jonas Kaufmann”を見ることができます。

(こちら  https://www.bbc.com/reel/playlist/take-me-to-the-opera?vpid=p0csk556)

短いインタビュー番組ですが、カウフマンの小さいときの写真なども出ています。この番組の本編はUKでしか見ることができませんでした。

 

インタビューの最後のトークを一部紹介します。

 

インタビュアー:「どうしたらオペラの将来を確かなものとし、若い観衆を引きつけることができるでしょう?」

 

カウフマン:「若者は新しいものが好きですが、現代的なものを見にゆくためにオペラに行くなんてことは決してありません。彼らはファンタジーや過去を求めてオペラに行くのです。彼らが現在生きている困難な生活を離れ夢を見るために行くのです。」

 

インタビュアー:「ではオペラを伝統的なままにしておくのですか?現代的なやり方で新たに作り直そうとせずに?」「それでオペラを維持しオペラの魅力をアピールすると?」

 

カウフマン:「まったくもってそのとおりです。人々が楽しみそしてこの素晴らしい魔法のような世界に浸りこむために物語を物語るのです。」

 

インタビュアー:「え、心配じゃないですか?オペラの未来を憂いませんか?」

 

カウフマン:「そりゃあ心配です。誰もが新し物好きですから」「音楽は我々を楽しませるばかりではありません。私達の心の内のどこかに響き渡り共鳴するものなのです。そしてそれはある種の美しさがあってこそ響き渡るものなのです。数百年うまく機能していたオペラのルールややり方から離れれば離れるほど音楽がわかりにくくなってしまいます。」

 

2022.8.13

Jonas Kaufmannは現在コンサート形式の「フィデリオ」を歌っています。今日と明日はGrafeneggです。

 

2022.8.9

Jonas Kaufmannが2022年8月28日!Arena di Veronaで「アイーダ」のラダメスを歌います。一回だけの出演。Franco Zeffirelliの演出。アイーダ役はLudmyla Monastyrska。

 

2022.8.8

★ Jonas KaufmannとLudovic Tézierが歌う二重唱のCD “Insieme” がソニーから発売されました。

★ ザルツブルクでの歌曲リサイタルが終わりました。ピアノはいつものHelmut Deutsch さん。次はコンサート形式の「フィデリオ」を8月11日GSTAAD FESTIVAL、8月13,14日GRAFENEGG FESTIVALで歌います。

 

2022.8.5

HGO (ヒューストン グランド オペラ) DIGITAL

カウフマンが 2021年10月6日にヒューストンで行ったコンサートを2022.7.29より2022.8.22 まで無料で見せてくれます。要登録。一曲ごとに小分けされているので注意。

(こちら:https://watch.hgodigital.org/an-evening-with-jonas-kaufmann

 

An Evening with Jonas Kaufmann 

Jonas Kaufmann

Patrick Summers 指揮

HGO オーケストラ

 

「運命の力」序曲

「ジョコンダ」より “Cielo e mar!”

「運命の力」より “La vita e inferno・・・Ah! Tu che in seno agli angel”

「マノン・レスコー」より間奏曲」

「アンドレア・シェニエ」より “Un di all’azzurro spazio”

「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲

「カヴァレリア・ルスティカーナ」より “Mamma, quel vino e generoso”

「ワルキューレ」より “Ein Schwert verheiess mir der Vater”

「ローエングリン」第3幕への前奏曲

「パルジファル」より Amfortas! Die Wunde!”

「ワルキューレ」より “Wintersturme wichen dem Wonnemond”

ヴェーゼドンク歌曲集より”Traume”

「トスカ」より “E lucevan le stelle”

Licinio Refice “Ombra di nube”

Ruggero Leoncavallo “Mattinata”

2022.7.31

METライブビューイング2022アンコール上演が決まりました。 https://www.shochiku.co.jp/met/news/4598/

カウフマンが出演する演目は「パルジファル」(12−13シーズン) 9/3, 7, 9及び「ウェルテル」(13−14シーズン)9/12, 15, 17です。

 

2022.7.30

毎度おなじみヘルムート・ドイッチュとの7月23日のリサイタルは素晴らしかったようですね。ベートーベン、シューベルト、シューマン、マーラー、そしてリストらの歌曲を歌い、5回のアンコールでした。

 

最初のうちはコロナ感染からまだ完全に回復していないように見えたが後半は調子を取り戻したということです (Klassik begeistert) https://klassik-begeistert.de/festspiel-liederabend-jonas-kaufmann-bayerische-staatsoper-nationaltheater-23-juli-2022/

 

Abendzeitungは今回のリサイタルを評して、

「カウフマンは頭声から胸声までシームレスに完璧なコントロールで歌う。そしてピアノは緊張感を持って歌われる・・・彼が歌う消えゆくような最後のパッセージはこの歌劇場のもっとも頑固な咳払いをも沈黙させる。」(Abendzeitung 2022.7.25 von Michael Bastian Weiss)、と記しています。

https://www.abendzeitung-muenchen.de/kultur/musik/kaufmann-und-deutsch-im-nationaltheater-ohne-anbiederung-art-831536

 

またカウフマンはSueddeutsche Zeitungのインタビューに答え、

「リートは歌唱の頂上に位置する。一曲一曲が独立したストーリーを持つが、それらの曲を関連つけて多様な変化をつけて歌うことができる。」

「歌曲は歌手により多くの色彩感、ニュアンスなどの微妙な扱いを要求する・・・毎回異なるアレンジをするので同じ歌曲でも毎回異なって聞こえる。」

「歌曲で物語を語ることに関して客観的な観察者として歌う場合と、物語に感情移入して歌う場合があるが、僕は後者です。」と語っています。まあ、歌曲に関してはいつもこのインタビューと同じような解説をしていますが。

 

https://www.sueddeutsche.de/muenchen/muenchen-opernfestspiele-kunstlied-christian-gerhaher-jonas-kaufmann-marlis-petersen-1.5626696

 

2022.7.28

Jonas Kaufmann は本日Benediktbeuern 修道院でコンサートです。共演Rachel Willis-Sørensen。「道化師」などのアリアを歌います。

 

2022.7.24

舞台にカムバック。

 

2022.7.19

カウフマンは風邪and/orコロナから回復し、23日のバイエルン歌劇場でLiedrabendを歌う予定。

 

2022.7.11

7月10日はJonas Kaufmannの53歳のお誕生日です。

 

2022.7.9

ROHのカヴァレリア/道化師、カウフマンは全公演キャンセルです。

 

2022.7.5

ガランチャ、7月28日のコンサートで歌われたアンコールのリストが招聘元からでました。

 

カルメン「ハバネラ」、プッチーニ「私のお父さん」、ラフマニノフ「美しい人よ、私のために歌わないで」、カヴァレリア「ママも知る通り」、アドリアーナ「私は慎ましいしもべです」、ファリャ「ナナ」

 

他の日のアンコールはどうだったかわかりませんが、28日、アドリアーナ「私は慎ましいしもべです」を私は聴いた覚えがないです。カヴァレリアの後は結構短い歌曲だったように思うけれど、ご存知の方はおられませんでしょうか?

 

追記:何人かの方もアンコールではアドリアーナ「私は慎ましいしもべです」を歌っていないとおっしゃっています。これは有名なアリアだから招聘元の社員くらいならすぐわかるのでは無いかと思っていたのだが、、、少々招聘元のイージーさを感じる。

 

2022.7.5

2022/23シーズンでテアトロ・サン・カルロで歌うオペラを「2022/23ヨナス・カウフマン出演予定オペラ紹介」に追記しておきました。

また、カウフマンが「アンドレア・シェニエ」を歌う予定とスカラ座のHPに出ていますが、少々不確かなところもありますので、スケジュールには載せていません。 

 

2022.7.2

カウフマンのFBによれば彼はコロナの前に風邪(インフルエンザ)にも罹っていたみたいですね。とりあえずトゥリッドはまだ歌う可能性があります。

 

2022.7.1

カウフマンはROHの「カヴァレリア」を7月8日もキャンセルしました。残念。

 

 

2022.6.25

あんれまあ、カウフマンはROHの初日キャンセル、その後もパリアッチはすべてキャンセルです。コロナに感染したのが理由で、喉を守るためにカヴァレリア・ルスティカーナのみを歌う予定。初日チケットは完売していたので観客は残念です。と思ったらもうキャンセルチケットが出てました。

 

 カウフマンの新たな予定です。

詳しい日程などわかりましたら、「情報&スケジュール」のページに載せておきます。

 

ワーグナー、ワルキューレ 

テアトロ・サン・カルロ、ナポリ、2023. 4.16 - 29 

Jonas Kaufmann, John Relyea, Christopher Maltman, Vida Miknevičiūtė, Varduhi Abrahamyan and Okka van der Damerau

指揮:Dan Ettinger, 演出:Federkci Tiezzi

 

ヴェルディ、オテロ

エクサンプロヴァンス、フランス、2023.7.17

Jonas Kaufmann, Ludovic Tézier, Maria Agresta

指揮:Michele Mariotti

 

2022.6.18

ROHの「カヴァレリア・ルスティカーナ」でキャストチェンジあり。アニタ・ラチヴェリシュヴィリに代わりアレクサンドラ・クルジャクが歌います。

 

Operawireによれば、“Insieme” CD には

“La Forza del Destino,” “Otello,” “Don Carlos,” “Les Vêpres Siciliennes,” “La Gioconda” and “La Bohème”などの二重唱が入っているようです。

https://operawire.com/jonas-kaufmann-ludovic-tezier-announce-new-album-insieme/

 

2022.6.17

Jonas Kaufmann とLudovic Tezierの二人のduo CD “Insieme” (一緒に、という意味) が発売されるようですね。アントニオ・パッパーノ指揮。オーケストラ:Santa Cecilia

 

2022.6.14

アンナ・ネトレプコが2022/23シーズンウイーン歌劇場に復帰します。1月の公演「アイーダ」に出演。そうしますと、Annna Netrebko, Elina Garanca, Jonas Kaufmann, Alexander Vinogrado, Luca Salsiと豪華絢爛キャストが勢揃いすることになります。あれやこれやで日本からヨーロッパへ行くのが困難になっている現在、この公演のストリーミングを強く希望します

 

2022.6.12

今年8月18日に予定されていたJonas Kaufmannのベルリン・Waldbühneのコンサートは “production technical reasons”より来年の7月8日に延期されました。このコンサートはJochen Riederの指揮によるthe Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin の元、Jonas Kaufmann とRachel Willis-Sørensenが歌います。( http://www.jonaskaufmann.com/en/1/start.html)

 

2022.6.10

Studio2/ORFのインタビュー

Jonas Kaufmann はオーストリアの市民権を得 (2重国籍)、ザルツブルクに引っ越したようです。

このインタビューで私の記憶に留まったことは、

「ドイツ語圏地域(ミュンヘン、ベルリン、ウイーン等)内でのドイツ語の相違はあるが自分は適応できるので気にならない、オペレッタは過小評価されているが歌うのは易しくない。色々名誉称号を頂いたが実際の仕事で活きるのは宮廷歌手の称号」等。

https://youtu.be/3zPKLicOF-w

 

2022.6.8

最近のインタビュー記事より (2022.5) 

 

オーストラリアでの「ローエングリン」公演とイタリアでの2つの受賞に関連していくつかのインタビュー記事が出ています。

 

この数年カウフマンのインタビューをフォローしていますが、彼のオペラ及びキャラクターに対する解釈や歌い方に対する考えは終始一貫しており、ぶれないです。というか、同じことを形を少々替えて何回も言っています。今回も同様。私にとってnewな内容は「ピアノの歌い方」くらい。私が気がついた点をまとめて簡単に。

 

1.「ローエングリン」に関して

 

彼は以前から「自分は楽譜に書かれた言葉と音楽に従う。ローエングリンの歌は優しく儚く描かれている。彼は失敗した英雄、アンチヒーローであるのでそのように歌う。」と主張しています。LIMELIGHTのインタビューでも同様のことを繰り返しています。

 

2.聴衆が大切 

 

コロナが流行して歌劇場が閉鎖、または無観客上演が続いていた頃から彼は「劇場でオペラを見る観客の重要性」についてはっきりと語るようになりました。

 

「公演を見る観客の存在そのものが重要」「観客が居てこそ完璧な公演が出来る」「オペラは人々から乖離してはならない。オペラは人々を楽しませるためにある。」というようなことを事あるごとに言い続けておられますが、今回もThe Age、60minutesのインタビューで同様のことを述べておられます。

 

3.声を作るな、操作するな 

 

これは彼のクレド(信条)です。カウフマンは自分に合わない発声で歌っていたためプロ人生の出だしに声を失いそうになりました。しかし非常に努力して自分本来の声を取り戻しました。その経験からでしょうか?彼はいつも「自分の声を操作して他人に望まれる声や自分がこうありたいと希望するような声を作ってはならない」と言っています。

 

60minutesの中で口の中にタオルを入れて発声練習をしている姿が映し出されました。これは自分にも自分の声がわからないようにして発声する、つまり声を声に任せ自分がこうありたいと希望するような声を作らないようにする、ということだそうです。

 

4.ピアノ (弱音) の歌い方 

 

「まずはリラックスすること。力で音を押し出してはいけない。優しく歌うには息の流れを保ち声帯のわずかなエッジを使う。自分は (過去に) ピアノでは息を吸い、強く歌うところで息を吐いていた。しかしそれではだめ。息を抑えてはならない。吐き出された息の流れの上に乗ったほんの小さな声の一雫があらゆるところに運ばれてゆくのだ。(Limelight)」・・・・素人のiltrovatoreが言うのもなんですが、これ恐ろしく難しいのではないだろうか?

 

5. オペラ歌手に求められること 

 

「歌手は一旦舞台に立ったら技術的なことを考えている余裕はない。それ故歌手は技術的に完璧でなくてはならない」 と彼は考えています。今回も「現在の若者たちの心を掴むためには説得力のある「役者」でなければならず、そのために歌手はオートマチックに自身の声をコントロール出来なくてはならない (Connected to the Opera)」と語っています。

 

Limelight インタビュー 2022.5.20 by Jansson J. Antmann

https://limelightmagazine.com.au/features/the-kaufmann-effect/?fbclid=IwAR2t5rbkOa0mYxYoyz0OVoGvZkI49PKJt9GPCqD4DtqvLV3mQDA7rRaaVkM

 

The Age By Nick Miller 2022.5.16

https://www.theage.com.au/culture/opera/he-s-the-hottest-tenor-in-the-world-but-he-s-worried-about-opera-s-future-20220515-p5alew.html

 

60minutes 2022.5.22 7PM ES from CBSnews

https://www.cbsnews.com/news/jonas-kaufmann-german-opera-tenor-60-minutes-2022-05-22/

 

Connected to the Opera

2022.5.1 Paola De Simone  the interview in the Casa Museo Enrico Caruso

https://www.connessiallopera.it/interviste/2022/il-sorriso-nella-voce-delleroe-intervista-a-jonas-kaufmann/?fbclid=IwAR0xB8CYXneExWYzXpFFfVS_WRPAC3S_8SiwSaIzzfhjTdNpr4emn46OQJ4

 

2022.6.7

スカラ座の2022/23シーズンプログラムが発表されました。Jonas Kaufmannは「アンドレア・シェニエ」に出演します。来年5月3日−27日の間、Yusif Eyvazovとのダブルキャスト。何日に出演するのかはまだ不明。

 

Marco Armiliato指揮、マッダレーナ役はSonya Yoncheva, ジェラード役はAmbrogio Maestri/Amartuvshin Enkhabat

 

Anna Netrebkoのマクベス夫人も予定されています。

 

2022.6.4

Jonas Kaufmannの次の公演は Helmut Deutschさんとのウイーンでのリサイタル。6月8日です。その後は7月5日から始まるROHでの「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」です。

 

2022.5.31

ROHのROH2022/23シーズンシネマ予定がROH HPのNews欄に発表されました。まだ詳しいことはわかりませんが、一応「海外歌劇場シネマ&ストリーミング予定」のページ、ROHシネマ欄に記載しておきます。正確な情報がアップされましたら同ページに追加しておきます。

 

ROHシネマは日本での知名度が低くMET オペラビューイングに比べ観客数がとても少ないです。しかし質の高い公演を上演してくれることが多いのでお勧めです。

 

尚ROH来シーズン最後の「イル・トロヴァトーレ」、出演者がYusif Eyvazov, Ludovic Tézier, Jamie Barton, Roberto Tagliaviniと豪華なのにレオノーレ役がTBC (To Be Confirmed)となっています。なにせ共演者がユーシフ君なのでどうなることでしょう。おまけに現在のマンガチックでアホくさい演出が消え新演出になるのも嬉しい。新演出はAdele Thomasでチューリッヒでの演出とおなじでしょうか? 

 

2022.5.27

評論から見るオーストラリアでの「ローエングリン」公演

 

ヨナス・カウフマンはオペラ・オーストラリアで演奏会方式の「パルシファル」や「アンドレア・シェニエ」を歌っています。今回はとうとう舞台での「ローエングリン」公演を行いました。「ローエングリン」といえばカウフマン十八番の役ですし、日本の我々にとっては何とも羨ましい限りです。

 

今回の「ローエングリン」も評判良く、数個読んだ評論も歌手に関してほぼ褒めまくりの状態。もちろんオーストラリアのオペラ界はカウフマンの招聘を熱望していたようなので評価は甘めになるかもしれません。

 

共演者もオーケストラも褒められていていましたが、特にカウフマンに関して、

 

「カウフマンはすべての期待に応えてくれた。並外れて明確な表現、常に正確な音程、魅力的で心にしみるピアニッシモ、苦もなく発せられる高音、そして心奪われるようなエモーションがあった。」(1)

 

「カウフマンはまるで話すように楽々と歌い、苦もなくパワフルしかも見事な音色、クリームの如くなめらかでコントロールされたレガート、繊細なピアニシモは畏敬の念を引き起こすほどだ。・・・・・・”Im fernem Land”では他のテノールには不可能な程の繊細かつ精巧な装飾、すなわち軽快な音や細かいトリル、があちこちに施されていた。」(2)

 

などなどです。彼が絶好調だったとは思えないように書いた批評家もいましたが、読んだ評論全体から想像するに、まあ好調ではなかったでしょうか。

 

いつものことですが、ローエングリンを演じるカウフマンは冷静で、

「(歌手は)自分自身のエモーションに決して溺れてはいけないのです。」(3)と語っています。

 

Olivier Pyの演出の評価は様々です。肯定的な評論もあったことはあったのですが、ワーグナーの表現したいことと根本的に矛盾する場面が頻出したらしく、ひどく否定的な評論 (演出には幻滅した、困惑した、静かな舞台にしてほしい場面でうるさい、またはうっとおしい等) のほうがずっと多かった印象があります。

 

ついでにコメントすると、チケット代は高かったです。オペラオーストラリアでの普段の2倍以上。最高のプレミアムシートは799オーストラリアドル (日本円で7万2千円位)でした。

 

(1) “When the Avalanches met the orchestra: welcome to paradise” by Barney Zwartz,The Age、2022.5.1 

(2) “Lohengrin (Opera Australia)” by Patricia Maunder、LIMELIGHT、2022.5.16

(3) “World’s best tenor brings note of perfection to Melbourne” by Michael Bailey , Financial Review, 2022.5.13

 

2022.5.25

オーストラリアでの「ローエングリン」公演はすべて終了しました。次は6月8日のウイーンでのリサイタル、7月5日からはROHでのカヴァレリアと道化師のダブルビルです。

https://twitter.com/tenorkaufmann/status/1529017070138040321

 

2022.5.24

アメリカCBSの”60 minutes”という番組がカウフマンの特集を放送しました。以下はその一部

彼は「たくさんのバーチャルコンサートをやってきたが、それによって観客が如何に重要かを学ぶことになった。(重要なのは) 観客のエネルギー。舞台を見て息を飲んでいる観客の存在を感じる。観客は単に拍手喝采してくれるだけの存在ではない。」というようなことを言ってます。

https://twitter.com/60Minutes/status/1528534040793559040?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1528534040793559040%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Filtrovatore1853.jimdofree.com%2FE3838BE383A5E383BCE382B9%2F

 

2022.5.15

オペラ・オーストラリア、「ローエングリン」のページの下の方 (トレーラー動画の更に下) に舞台写真がいくつか掲載されています。きれいな舞台ですね。

https://opera.org.au/productions/lohengrin-melbourne/

 

2022.5.14

本日オーストラリアでの「ローエングリン」初日。

このインタビューで彼が言っている内容は、

・「ローエングリン」はワーグナーの最もイタリア的な作品で、美しい音楽とフレーズがある。

・この作品は戦争への準備などテーマが重いから、オリヴィエ・ピーは軽く、ほとんど子供めいたアプローチで演出している。

・僕にとってローエングリンは偽りの英雄。

・これを歌い始めたときは最後まで歌い続けるスタミナを保つのが大変だった。

・ローエングリンの3幕「はるかなる国に」と「我が愛する白鳥よ」はとても美しく脆い。

・ローエングリンを歌う時、僕はいつも新たな内容を込めて歌おうと思っている。

 

2022.5.10

5月14日からオーストラリアでの「ローエングリン」公演が始まる予定です。

演出はOlivier Py。共演はElsa: Emily Magee, Ortrud: Elena Gabouri, Telramund: Simon Meadows  そのほか。

 

2022.5.6

バイエルン歌劇場の2022/23シーズンが発表されました。カウフマンの出演演目は

 

ピーター・グライムス

バイエルン歌劇場、ミュンヘン、2022.9.21, 24, 27, 30 

Jonas Kaufmann, Rachel Willis-Sørensen、Christopher Purves

https://www.staatsoper.de/stuecke/peter-grimes/2022-09-21-1900-13171

 

西部の娘

バイエルン歌劇場、ミュンヘン、2022.10.16, 20, 23, 28 

Malin Bystrom, Claudio Sgura, Jonas Kaufmann

https://www.staatsoper.de/stuecke/la-fanciulla-del-west/2022-10-16-1900-13193

 

及びソングリサイタル

バイエルン歌劇場、ミュンヘン2023.7.25  Jonas Kaufmann & Helmut Deutsch  です。

 

カウフマンはすでに「ピーター・グライムス」をウイーンで、「西部の娘」はウイーンとMETで歌っています。

また、上記のオペラとも新演出ではありません。今の所、2022/23シーズンのカウフマンの出演演目はすべて既出の演出となります。しかも音楽を無視して作り上げたような独善的な演出はなし。ある意味安心。

 

2022.5.5

Jonas Kaufmann の新たなスケジュールが発表されました。

 

End-of-year concert with Kirill Petrenko and Jonas Kaufmann

フィルハーモニー、ベルリン、ドイツ、2022.12.29, 30, 31 公式サイト未掲載

31日のコンサートはBerliner Philharmoniker/ Digital Concert Hallからライブストリーミングがあります。ストリーミングは2023.1.1.01:30より:こちらhttps://www.digitalconcerthall.com/en/concert/54496?c=true

 

この公演ではオーケストラがオペラの序曲や間奏曲などを演奏し、カウフマンはヴェルディその他のオペラのアリアを歌います。この公演の解説の中でカウフマンに言及し、「低音域は響き渡り、高音域は輝かしく、知的な表現。これらによりカウフマンは世界的に有名な歌手となった。」と書いてあります。短いが的を得た表現です。

 

2022.5.3

バイエルン歌劇場の2022/23シーズンの発表は5月5日。

 

2022.5.1

ナポリでの「トスカ」公演は終了しました。次はオーストラリアで「ローエングリン」です。5月14日より。

 

2022.4.30

ウイーン歌劇場 2022/23シーズンのプログラムが発表されました。ヨナス・カウフマンの出演オペラは以下。

 

「アンドレア・シェニエ」

Jonas Kaufmann, Carlos Alvarez, Maria Agresta

2022.11.30, & 12.3. 6. 9

Otto Schenkの昔ながらの美しいプロダクション。

私は2018年ウイーンでカウフマン主演のこの演出での公演 (鑑賞記) を観たことがあります。その時はハルテロスとフロンターリが共演してなかなか良かったです。今回の共演者も良いですね。

https://youtu.be/MewNJOLlGow

 

「アイーダ」

Jonas Kaufmann, Elina Garanca, Luca Salsi, Alexander Vinogradov

2023.1.14, 18, 21, 24

これも2018年ウイーン歌劇場で私が鑑賞したのと同じ演出です。プロダクション自体はまあ普通だが、METや新国立の「アイーダ」プロダクションの方がはるかに立派。私が観たときはラチヴェリシュヴィリがアムネリスを絶好調で歌っていたが、今シーズンのプロダクションは配役がずっと豪華に思える。

 

カウフマンは以前バイエルンでラダメスを歌っているがズックを履きハリボテみたいな鎧をつけていて、はっきり言ってみっともなかった。今回は視覚的に言ってベターなラダメスだろうと期待します。ガランチャのアムネリスもワクワクでしょうか。

https://youtu.be/J9yEraNTwK4

 

2022.4.30

J.Kaufmannは4月28日、エンリコ・カルーゾの生家に隣接するナポリの聖ヨハネ・パウロ教会で "Premio Internazionale Casa Museo Enrico Caruso"を受賞しました.

 

2022.4.22

Teatreo di Sa Carlo ナポリでの「トスカ」   https://youtu.be/C79tf-MCMek

 

2022.4.21

テアトロ・サン カルロでの「トスカ」再び変更あり。スカルピアが George Gagnidzeに変わります(20、23日公演)。ちなみに今回のスカルピア役は当初 Ildar Abdrazakov でしたが個人的な理由で降板しLucas Meachemになりましたが、再び病気でGabriele Vivianiに代わり、彼も病気になってついにGeorge Gagnidzeに代わったそうです。 まあもともとカウフマンも代役ですけどね。

 

2022.4.20

Jonas Kaufmannは今年から新たに創設されたCorelli100賞を受賞します。この賞はフランコ・コレッリ(1921.4.8 - 2003.10.29)生誕100年を記念しTeatro del Muse財団によりコレッリの生誕地アンコーナで与えられます。財団は「カウフマンはリリックなレパートリーを解釈する手本となっており、世界中で認められている」と語っています。(Operawire 2022.4.14) https://operawire.com/jonas-kaufmann-awarded-corelli100-prize/

コレルリは美男子で背も高くスピントなテノール声が魅力的で今でもファンの方は多いでしょう。この賞の第一回目の受賞者がカウフマンというのは納得です。   https://youtu.be/Zzb9uwfgD1w

 

2022.4.19

テアトロ・サン カルロでの「トスカ」は明日から始まります。合計4回。スカルピアがアブドラザコフからヴィヴィアーニに変更。

 

2022.4.16

4月24日アンコラにおいて、Jonas KaufmannはTeatro del Muse財団によるCorelli100賞を受賞します。この賞はオペラ界で功績のあった人に贈られます。財団は、「カウフマンはリリックなレパートリーを解釈する手本となっており、世界中で認められている」と語っている。(Operawire 2022.4.14)

https://operawire.com/jonas-kaufmann-awarded-corelli100-prize/

 

ちなみにコレッリは1921年4月生まれのスピント系テノール歌手。劇的な表現と力強く輝かしい高音、おまけに背が高く映画俳優なみの美形であり、現役当時一世を風靡した。アンコラ生まれ。

 

2022.4.15

ダムラウ・カウフマンのヨーロッパ歌曲ツアーが終わりました。次はナポリでの「トスカ」です。4月20日より。https://twitter.com/tenorkaufmann/status/1514610306177142786

 

2022.4.12

Cofee with Kaufmann, Damrau & Deutsch episode 7 

"プッチーニとヴェルディを語る"  (https://fb.watch/claf_NzCt4/

 

ドイチェさんは「プッチーニはピアノで弾くのは素晴らしい。ヴェルディは弾くのが難しい。例えばリゴレットの『悪魔め、鬼め』は指の骨が折れててしまう。。。(カウフマンがその伴奏部分を口ずさんでます) どう頑張っても良い音がでない。」

 

と言ってらっしゃいますが、プッチーニは美しいアリアと同じ旋律を伴奏で奏でることも多いですからねえ、、

 

ついでに話題になった"Cortigiani"「悪魔め、鬼め」の話題になった箇所から歌い出している動画がありました。ホヴォロストフスキーの歌で。う〜ん、やっぱりこの伴奏をピアノで弾くのはチョー難しそう。

 

https://youtu.be/pQwlqogC8HQ

 

2022.4.10

★ 歌曲ツアーの後 Jonas Kaufmann はナポリで「トスカ」を歌いますが、スカルピア役のアブドラザコフがGabriele Viviani に変わっています。

★ ダムラウ、カウフマン、ドイチェさんの歌曲ツアーはバルセロナが終わってあと2公演(ハンブルクとウイーン)になりました。

 

2022.4.8

★ROHウェルテルの日程、2023.6.20, 23, 28 and 7.1, 4 の5回 

★欧米の歌劇場22/23シーズンプログラムの発表が続いています。ウイーン歌劇場の発表は4月30日、バイエルン歌劇場は5月2日です。バイエルンは平年より遅いです。

 

2022.4.7

評論から観る「歌曲ツアー」(ディアナ・ダムラウ、ヨナス・カウフマン、・ヘルムート・ドイチェ) 概観

 

4年前の2018年、彼ら3人はヨーロッパ諸都市を周りヴォルフイタリア歌曲集を歌いました。ヴォルフの歌曲集は演奏機会が少なく観客の入りも悪いのが普通だそうですが、身振り手振りの演技を交えた彼らの歌は人気を博しました。カウフマンも非常に満足し、「またこのようなツアーをやりたい」と言っていましたが、それが今回のツアーで実現しました。

 

今回の歌曲ツアーでは「ロベルト・シューマンとヨハネス・ブラームスによる愛の歌」40曲を歌い上げました。ヨナス・カウフマンとディアナ・ダムラウはそれらを交互に歌ったりデュエットで歌ったり、またお互いに歌い合う、という歌い方だったそうです(Opernmagazin 2022.3.26)。

 

ところで、この二人の作曲家はシューマンの妻クララを介してつながっています。クララの父親の強烈な反対を振り切って結婚したロベルト・シューマンとクララでしたが、ロベルトは精神障害を起こして(現在は梅毒による症状と考えられている)40代半ばで悲劇的な最後を遂げました。その後クララはブラームスと生涯深い友人関係を保ち続けました。(二人が恋愛関係にあったという証拠はありません。)

 

ヘルムート・ドイチェはそのような彼らの40曲をPart 1で3つ、Part 2で3つ合計6つのブロックにわけ、それぞれのブロックの中で小さな物語を創り上げました。

 

公演は、「第1部は悲劇的に、第2部ではより楽観的に歌われた。カウフマンとダムラウの関わり方は多彩で常にストーリーに沿っており、愛、幸福、そして苦痛にいろどられたロマンチックな物語だった」(Opera Today 2022.3.31) そうです。更に、

 

ダムラウは「コケティッシュな女性、愛する女性、諦めてしまった女性など女性の様々な側面を魅力的に歌い」、対するカウフマンは「繊細な音色やファルセット、ミックスヴォイスを使い濃密な瞬間を表現するだけでなく主にシューマンの歌曲で輝かしい英雄的な歌い方もしていた 」(Opernmagazin 2022.3.26)と評されています。また二人は引き裂かれた二人だけでなくお茶目なカップルも演じた様です(Frankfurter Rundschau 2022.3.28)。

 

またドイチェさんのピアノはどの評論でも絶賛されていましたが、それ以外にも聴衆が一曲ごとに拍手するのを防ぐような演奏をしていたらしい(Frankfurter Rundschau 2022.3.28)。しかしそれでも続く拍手にヨナス・カウフマンが登壇し、「(一つのブロックの中の)曲はお互い関連しているので拍手で中断することなく楽しんで欲しい」と観客にお願いしたそうです(Opernmagazin 2022.3.26)。

 

参考評論

 

DIANA DAMRAU, JONAS KAUFMANN AND HELMUT DEUTSCH AT THE BARBICAN HALL 2022.3.29 公演、Opera Today 2022.3.31 by Colin Clarke 

 

DIANA DAMRAU, JONAS KAUFMANN AND HELMUT DEUTSCH INSPIRE IN THE ESSEN PHILHARMONIC  2022.3.23公演、Opernmagazin 2022.3.26 von Ursula Hartlapp-Lindemeyer

 

DAMRAU & KAUFMANN:DISTANT, DISTANT, DISTANT… 2022.3.25公演、Frankfurter Rundschau 2022.3.28 von Judith von Sternburg

 

2022.4.7

ウイーン歌劇場ストリーミング、魅力的な演目をたくさん流してくれるのは非常に嬉しいのですが、カレンダーに出す演目を出したり引っ込めたりしないでほしい。翻弄される・・・(愚痴)

 

2022.4.6

ROHの2022/23hシーズンが発表されます。ヨナス・カウフマンは「ウェルテル」を歌う模様。彼がこれを歌うのは久しぶり。シャルロッテはJette Parker Young Artistに属していたAigul Akhmetshinaで抜擢でしょうか?私はこのメゾの名前を初めて聞きます。現在シーズン概要が見られるだけですが、なかなか良い歌手を揃えています。今のところ日程はでていません。詳しくはこちら:https://www.roh.org.uk/news/announcing-the-2022-23-season

 

2022.4.2

アンナ・ネトレプコの状況

 

「METはロシア人歌手アンナ・ネトレプコさんを降板させた。彼女は長くプーチン大統領との関係がある。プーチンが"殺人者"となった時点で、もう無理だと判断した。」(こちら: https://www.fnn.jp/articles/-/332126?utm_source=headlines.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedLink)

METゲルブ氏は語り、彼女との契約は打ち切られました。

 

欧米の多くの歌劇場も彼女との契約を打ち切り、欧米における彼女の活躍はほぼ不可能となりました。

 

そして、3月30日に彼女は3回目の声明(https://www.facebook.com/annanetrebko/posts/512787003549029)を発表しました。その声明(以下)は非常にはっきりとしています。

・私はウクライナの戦争を明確に非難し、私の心はこの戦争での犠牲者とその家族とともにある。

・私はいかなる政党にも属しておらず、ロシアの指導者たちとも結びついてはいない。

・私の過去の行動や声明が誤解を招いているかもしれないことを残念に思う。

・プーチンとは受賞やオリンピックの開会式など今まで数回しか会っていない。

・私はロシア政府からいかなる財政的援助を受けたことはない。私はオーストリアに在住し、オーストリアの納税者である。

・私は私の生まれ故郷ロシアを愛している、ただ芸術を通して平和と一体感を求めているだけだ。

 

それに素早く反応したのがロシアで、ノボシビルスクにある国立オペラバレエ劇場は「彼女は我が国の行動を非難する声明を発表した。彼女にとってヨーロッパの劇場で歌う方が祖国の運命よりも重要なのだ。」などとして、彼女の6月のコンサートをキャンセルしました。(こちら:https://slippedisc.com/2022/04/now-anna-netrebko-is-cancelled-in-russia/)

 

ロシア政府も激怒し「ロシアを非難し"国を裏切ったもの”は文化・教育・その他指導的立場から降りねばならない」として彼女のロシアでの称号を辞するよう求めました。ちなみにネトレプはロシアの人民芸術家に選ばれており、またロシア連邦国家賞も受賞しています。(こちら:https://operawire.com/russian-politician-asks-for-anna-netrebko-to-resign-from-russian-titles/)

 

一方彼女の声明を受けて、METのゲルブ氏は「我々の立ち位置を変える状況にはなっていない。彼女が長期的に完全にプーチンと縁を切ったことを証明することができるなら、喜んで彼女を話をする」と述べています。(こちら:https://www.theguardian.com/music/2022/mar/30/russian-soprano-anna-netrebko-putin-ukraine-war-met-opera)

 

ちなみに、

・彼女は「私の過去の行動や声明が誤解を招いているかもしれない」と言っています。しかし彼女は過去に(2014年)ドネスク歌劇場に多額の寄付をしており、その際ドネツク(国旗?)を持った彼女がドネツクの分離派指導者とともににっこりと写真におさまっていた事実は誤解のしようもありません。

・そして3度目の声明でも名指しでプーチンを非難してはいません。

 

ただネトレプコの場合、彼女のお子さんのこともありiltrovatore個人的には彼女に同情する気持ちもあります。。。

 

METゲルブ総裁は「ロシアの芸術や文化は世界の宝である。(ロシアの音楽やロシア人アーティストをキャンセルするのは) 個人的には間違いだと思う。大半のロシア人アーティストはプーチン大統領とつながりがない。」(こちら:https://www.fnn.jp/articles/-/332126?utm_source=headlines.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedLink

)と語っており、ウイーン歌劇場の声明(下のニュース、2022.3.23を参照)も含め、今のところ全てのロシア人が欧米の劇場から完璧に排斥されている状況ではないように見えます。

 

2022.3.28

エッセンでのコンサート。

 

2022.3.27

ヨーロッパ各都市をまわるダムラウとカウフマンのツアー、本日はバーデンバーデンです。これで4回目。残り8回。まだまだ先は長いです。

 

2022.3.24

久方ぶりにカウフマンがチューリッヒ歌劇場に出演することになりました。演目はロバート・カーセン演出の「トスカ」。出演は2022年12月15、17、20日の3回。(残りの3回はユーシフ・エイヴァゾフがカヴァラドッシを歌う)。共演はサンドラ・ラドヴァノフスキー、ブリン・ターフェル

https://issuu.com/opernhauszuerich/docs/saisonbuch_22-23_low?utm_campaign=Saison+22%2F23

 

追加:カウフマンは2009年にチューリッヒで同じプロジェクトの「トスカ」を歌っています。その時の映像は映像・音楽」イタリアオペラ(2)に出ています。

 

2022.3.23

ウイーン歌劇場におけるロシア人アーティストを擁護する声明がウイーン歌劇場FBにでました。ドイツ語と英語が併記されていますし、なかなかに内容の深い文章ですので一読をお勧めします。最後の部分だけをかいつまんでまとめると、

 

・ 最近ロシア人の歌手やバレリーナなどを排斥せよ、という要求がでているが、そのような要求を拒否する。出身(国籍)だけで彼らを「良い」「悪い」に分けてはならない

・ (FBにおける)一部のコメントは本歌劇場のアーティストを傷つけるような書き方をしているが、我々にはそれらのコメントを削除する権利がある。

 

似たような談話が既にMETのゲルブ氏により出されています(日本語、https://www.fnn.jp/articles/-/332126?utm_source=headlines.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedLink)

 

2022.3.22

Coffee with Jonas Kaufmann、Episode 5 カウフマンのツイッター

ヨナス・カウフマンはディアナ・ダムラウおよびドイチェさんと一緒にヨーロッパの都市で12回の公演をします。Coffee with Jonas Kaufmannではこれから「ご質問にお答えします」12回の連投を予定している様です。今回はミュンヘンの好きな食べ物に関して。

 

ヨナス・カウフマン:甘いマスタードを添えたWeisswurstとバターpretzelそしてWeissbier。さもなければSchweinsbraten.

ドイチェさん:Blutwurst, Leberwurst, Sauerkraut。

ダムラウ:Pfifferlingeを添えたSemmelknoedel 。Leberkaeseとバター pretzel、アルコール抜きのWeissbier。

 

ちなみに、

Weisswurst(ヴァイスヴルスト):バイエルン地方の伝統的なソーセージ。バイエルン風の甘いマスタードを添えて提供され、プレッツエルおよび白ビールと一緒に食べるそうです。(こちら)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%B4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%88

Pretzel (プレッツエル):ドイツ発祥の焼き菓子パン

Weisbier (白ビール):小麦を多く使った醸造ビール。ベルギーやドイツのビール

Schweinbraten (ローストポーク):ドイツ南部、オーストリア、スイスの伝統料理。

Blutwurst (ブラッドソーセージ):血液を加えて作ったソーセージ。

Leberwurst (レバーソーセージ)

Sauerkraut (ザワークラウト):発酵させた酸っぱいキャベツ

Semmelknödel (ゼンメルクネーデル):パンに野菜や香辛料を加えて練ったパンの団子。ドイツ料理の付け合わせ

Pfifferlinge (アンズタケ):きのこ。ドイツなどでの秋の味覚。

Leberkäse: ひき肉と香味野菜やスパイスを型に入れて蒸し焼きにした食品。ドイツ、オーストリア、スイスなどで食される。ミートローフのようなものらしい。

 

なんか、ドイツのお料理紹介みたいになっちゃいましたが。。。

 

2022.3.21

本日21日より、ダムラウ・カウフマン・ドイチェさんによるリサイタルツアーが始まります。ヨーロッパの11箇所の都市を廻る予定。まずはミュンヘンです。(訂正)情報&スケジュールのページでBaden-Baden での公演が抜けてました。合計12箇所を回ります。

 

ザルツブルグのイースターフェスティバル(Osterfestspiele-salzburg) 2023年のオペラは「タンホイザー」で、指揮:Andris Nelsons, Hermann:Georg Zeppenfeld, Tannhauser: Jonas Kaufmann, Wolfram: Christian Gerhaher, Elisabeth: Marlis Petersen, Venus:ELina Garanca。Nelsons指揮の下なんとも豪華な歌手たち、、、、これはチケット争奪戦が激しそうです。来年の春前までになんとかウクライナの情勢が落ち着いていることを祈ります。チケットの一般発売は2022年10月3日から。(こちら、https://www.osterfestspiele-salzburg.at/2023/programm.html)

 

2022.3.19

評論や記事などからみるサンタ・チェチーリア音楽院での「トゥーランドット」 2022.3.12公演

 

今回は、CDで発売が予定されている「トゥーランドット」のレコーディングが終了後、1回だけ開催されたコンサートです。レコーディングのキャストとほぼ同じ。ただしスパイアースは他で歌う予定ができて代役に代わりました。

 

本公演で特徴的だったのは、未完に終わったこのオペラのファイナル場面を補筆したアルファーノのオリジナルが取り入れられていること。私たちが聴き慣れているものと異なり、ファイナル場面で氷の姫君トゥーランドットが愛によって変容してゆくのをよりはっきりと示しているらしい

(ForumOpera 2022.3.15:https://www.forumopera.com/turandot-rome-a-rome-une-version-de-reference-pour-une-turandot-particuliere?fbclid=IwAR3sTHnSEIYSvKrtVtegEJ0HOaArEYRbx_tQ8WlMJ6ErwZOkG-vAX25LBLU)。

 

そのことが、パッパーノの「アルファーノはプッチーニより素晴らしくはなかった。しかし彼が補筆した部分は演劇的な見地からみて有効である。よってこの部分も演奏することにし、ディスクにも録音した」と言っている意味かなあ、と思います。

(”Magica Turandot, la prima volta di Pappano incanta Roma” ANSA、2022.3.13:https://www.ansa.it/sito/notizie/cultura/musica/2022/03/12/magica-turandot-la-prima-volta-di-pappano-incanta-roma_3c6df4f4-0eda-4fc4-b089-57b2d6617ca2.html

 

いずれにしてもCDは2023年2月ごろにワーナーから発売される予定なので、その時まで乞うご期待。

 

ヨナス・カウフマンのカラフはなかなかの高評価。パヴァロッティの様な地中海的な明るい音色とは異なるカウフマンの暗くバリトン様の声がカラフには合わない様に感じた評論家もいますが

(le Repubblica 2020.3.13:https://www.repubblica.it/spettacoli/teatro-danza/2022/03/13/news/turandot_di_antonio_pappano_orchestra_e_coro_santa_cecilia-341157854/?ref=drrt-2)

 

一方、それをむしろその声を活かしている、または合っていると考える評論家もいて、いずれにしてもカウフマンの素晴らしい歌唱力、すなわちキャラクターへの深い解釈及び表現力・技術力は賛辞の的になっていました。

 

そして「最後の"Nessun dorma "は自信を持ちつつ自由奔放、しかも優雅さと落ち着きをもって歌われ、高音が幅広く持続し最高潮に達した。」そうです

(Wanderersite by Antoine Lernez 2022.3.12等:https://wanderersite.com/en/2022/03/turandot-or-eastern-magic/)。

 

iltrovatoreが幾分心配していたハイCもしっかりと出ていたらしい。

 

どの評論でも褒められていたのはサンドラ・ラドヴァノフスキー。「彼女の声は鋼鉄のブリュンヒルデではなくイタリア的な声で、オーケストラを悠々超えて光り輝いていた」そうです

(Giornale della Musica 2022.3.12:https://www.giornaledellamusica.it/recensioni/una-turandot-trionfale-santa-cecilia?fbclid=IwAR2IYJyYq7Nf8VbJSsY1Ih5FFI3vMb5wamJkg8jdb_N2m-Uqg4SeTu881hQ)。

 

ちなみに、彼女の声量は並の男性歌手を遥かに超えているので、もちろんカウフマンより大音量だったろうと私は想像します。

 

最後にパッパーノの指揮も非常に好評で、彼にスタンディングオベーションが起こったそうです。今回の公演はヨーロッパの歌劇場では今時珍しいsold outでした。

 

2022.3.18

FNNプライムオンライン、弓削いく子氏によるMETゲルブ総裁へのインタビュー記事)によると、

(https://www.fnn.jp/articles/-/332126?utm_source=headlines.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedLink

 

「METはロシア人歌手アンナ・エトレプコさんを降板させたが、彼女は長くプーチン大統領との関係がある。プーチンが"殺人者"となった時点で、もう無理だと判断した。」

「しかしロシアの芸術や文化は世界の宝である。(ロシアの音楽やロシア人アーティストをキャンセルするのは) 個人的には間違いだと思う。大半のロシア人アーティストはプーチン大統領とつながりがない。」

 

ゲルブ氏は、ロシアの芸術・文化・アーティストとプーチン大統領とをきちんと区別すべきであり、単にロシアというだけでロシアオペラやロシア人歌手を劇場から排斥することはない、としています。至極もっともな考えと思います。

 

良い記事なので興味のある方はご一読ださい。

 

2022.3.17

「トゥーランドット」の最後のシーンを作曲し終えるまえにプッチーニは亡くなり、アルファーノが遺族から委託されて残りの部分を補筆しました。指揮者のトスカニーニはアルファーノが作曲した部分に散々ケチをつけたあげく「トゥーランドット」初演時にアルファーノの補筆部分を演奏しませんでした。(参考、本サイト、オペラ解説「トゥーランドット」)。

 

しかし今回の公演(CD含む)ではアルファーノが作曲した部分全部をいれて演奏したということです。パッパーノ曰く、「アルファーノはプッチーニより素晴らしくはなかった。しかし彼が補筆した部分は演劇的な見地からみて有効である。よってこの部分も演奏することにし、ディスクにも録音した」そうです

(”Magica Turandot, la prima volta di Pappano incanta Roma” ANSA、2022.3.13:https://www.ansa.it/sito/notizie/cultura/musica/2022/03/12/magica-turandot-la-prima-volta-di-pappano-incanta-roma_3c6df4f4-0eda-4fc4-b089-57b2d6617ca2.html)

 

2022.3.14

Accademia Nazionale di Santa Ceciliaのツイッターより。「トゥーランドット」公演は無事に終了。好評だったようです。

 

2022.3.12

新国立劇場開場25周年2022/23 演目紹介のYoutube. 詳しくは本サイトの「海外歌劇場シネマ&ストリーミング予定」にあります。https://youtu.be/H4tCAqLSjIs

 

2022.3.8

3月12日、「トゥーランドット」収録後の1回限りの演奏会です。

 

2022.3.6

3月5日に掲載したカウフマンの声明は本当のところ何を言いたいかわかりにくいです。内容がさっぱりわからん、という方も多いかと思います。彼は国連大使という肩書きを持っています。その彼が国連に迷惑をかけてはいけないので、声明は非常に慎重に出さねばならない。しかし、彼個人としては言わずにゃあおれない!というところかな、と想像しています。

 

ということで、彼の声明を簡単にまとめると、

 

・「芸術は何がなんでも中立であるべき、とは思わないが、個人的なあらゆる考えを表現するための道具として芸術を利用すべきではない。」

・「ただし個人的に意見を述べるのは可能であるべきだろう。」

 

と、芸術家である彼が声明を発表するという行動が果たして妥当かどうか、に関する長い前置きの後で、彼の「平和」への想いと芸術家としての役割を次のように語っています。

 

・「ウクライナの軍事衝突なども含め、力ではどんな紛争も解決しないと国連大使の私は訴え続ける。」(注: カウフマンは国連「文明の同盟」における公式大使になっている)

・「芸術家の役割は芸術を通して平和への思いを強くさせることだ。」

 

ちなみに、彼の声明文には一般論としても、また直接的・間接的にも他の芸術家の言動や行動、または何も行動しないことに対する批判は書いてありません。念のため。

 

さらに詳しい声明の内容をお知りになりたい方は本サイトHPの「お問い合わせ欄」よりご連絡ください。

 

 

2022.3.5

ヨナス・カウフマンがウクライナ侵攻に抗議する長文の声明をHPに出しました。

 

2022.3.3

Elina GarancaはFBで今後予定されているロシアでのコンサートを全てキャンセルし、ウクライナへのロシアの侵略を激しく非難しています。

 

そして「例えプーチンとその政権をサポートする人々が正直な声明を出せないという罠にはまっているとしても、彼らを支持することはできない」とまで言っています。

 

彼女はラトビア人です。ラトビアは1990年にソ連から独立した国で、ロシアの侵略を恐れNATOに加盟しました。「ラトビア人である私は侵略と占領がどんなものであるかを知っている」という彼女の言葉には若い頃ソ連支配下での暗黒の日々を体験した人間の思いが滲んでいるように見えます。

 

ポーランド人のベチャワもFBで戦争に反対すること、モスクワでのコンサートをキャンセルした、と記しています。そして「ロシアには僕のファンがいるけれども私は正しい決断をした。人々は(侵略)反対の声をあげよう」と書いています。ポーランドもソ連に支配された大変苦しい時代を経験しています。1993年ソ連はポーランドから撤退しました。その数年後ポーランドはNATOに加盟しています。

 

2022.3.2

様々なニュースを見るに、ゲルギエフとネトレプコは西側ヨーロッパ諸国からほぼ締め出されたと思われます。METでも予定表にはまだネトレプコの名前がありますが、ゲルブ氏はプーチンをサポートまたはサポートされているアーティストおよび組織とは契約しないといっています。ロシア国籍を持つ全てのアーティストに適用されるのかどうかはわかりませんが。https://www.metopera.org/information/a-message-from-peter-gelb/

 

2022.3.1

新国立劇場、2022/23シーズンのオペラ公演演目が発表されました。「海外歌劇場シネマ&ストリーミング予定表」(新国立劇場)のページに概要を載せました。詳しくはこちら。https://www.nntt.jac.go.jp/opera/variety/

 

新制作3つ、新国立劇場開場25周年記念公演3つあります。ヴェルディ、プッチーニ、ワーグナー、モーツアルト以外にバロック、ロシア、フランスオペラ、ドイツオペラもあり、昔より演目のバランスが良くなったような気がします。ただし世界のトップ歌劇場で常に主役を歌っているような歌手は極々々わずか、というか、、、、、。25周年記念公演という割には地味目の歌手陣。

 

ウクライナがこれからどうなるかはわかりませんが、現状のままで行くとロシア国籍の歌手は日本に入国できないかもしれません。

 

2022.2.26

デンマークでのアンナ・ネトレプとユーシフ・エイヴァゾフのジョイントコンサートは公演直前にキャンセルされました。多くの政治家や聴衆その他の人々はプーチンを支持する彼女のこれまでの姿勢を批判的に見つめており、公演の中止を求めた模様です。一応オーストリアの市民権を持っているとはいえ、ネトレプコはこれから欧米の歌劇場で歌えるのでしょうか。

https://www.tv2ostjylland.dk/aarhus/kontroversiel-russisk-operasanger-aflyser-omdiskuteret-koncert

 

2022.2.25

ロシアによるウクライナへの侵攻にともない、プーチンの良きお友達ゲルギエフはウイーンフィルのカーネギーホールでの公演を降板せざるをえませんでした。またミラノ市長はスカラ座にゲルギエフの降板を要求しています。EUではロシア人へのビザ発給を停止しようという動きもあります。オペラ界も大変。

 

ちなみに日本は本日25日、ロシアの個人・団体へのビザ発給停止を決めています。

 

2022.2.24

MET 2022/23のスケジュール(https://www.metopera.org/season/2022-23-season/)が発表されました。こちら。ざっと見ただけですがハイレベルの歌手たちが出演していますし、いくつかの演目は興味深い。ただし「さすがMET素晴らしい!」というほどでもないかなあ?というのも、、、、

 

カウフマンをはじめとして、ダムラウ、ガランチャ、フローレスの名前が見えず失望。更にシュテンメ、フォークト、テジエ、ゲルハーハ、ダルカンジェロ、シュロット、パーペなどの名前もないです。バルトリ、メーリ、ハルテロスなどの名前もでていないけれど、彼らの場合METに出演するとは思われないので初めから期待していないです。

 

Michael Spyresが「イドメネオ」(タイトルロール)と「ノルマ」(ポリオーネ)に出演するのが目新しく思えました。ネトレプコは「ドン・カルロ」でエリザベッタを歌いますが、5回だけ。

 

 

MET2022/23ライブビューイング予定を「外国歌劇場シネマ&ストリーミング予定表」のページに掲載しました

 

2022.2.20

ヨナス・カウフマンの次の予定はローマ、「トゥーランドット」の収録。その後ディアナ・ダムラウ、ヘルムート・ドイチェとの歌曲ツアーが3月21日より4月13日まで続きます。https://youtu.be/w9VqxFzdFTg

 

2022.2.17

先日ウイーン歌劇場での「死の都」で突然の指揮者交代がありました。その時ベルリンにいた指揮者は開演10時間前に歌劇場からオファーがありリハーサルなし(ぶっつけ本番)で指揮をしたそうです(Slippedisc 2022.2.16 by Norman Lebrecht)。https://slippedisc.com/2022/02/how-i-saved-viennas-dead/

 

この公演では主演のフォークトを含む複数歌手の交代もあり、はちゃめちゃ状態になっていたと思われます。それでも上演するという歌劇場の根性も見上げたものだし、突然の交代でもそれなりにちゃんと歌える指揮者・歌手たちのレベルも大したものです・・・つい日本のオペラ界と比べてしまう。なおこの公演を楽しみに待ち構えていたiltrovatoreはストリーミング中止でがっかりしました。観たかったわ〜。

 

2022.2.13

バイエルン州立歌劇場、ウイーン国立歌劇場、およびROHのライブストリーミングがちょこちょこ少しずつ更新されているので、興味のある方は時々「海外歌劇場シネマ&ストリーミング予定」のページを覗いてください。

 

2022.2.12

ヨナス・カウフマンがオーストリアの市民権を授与されました。う〜ん、これでオーストリアの人々のヨナス好きが加速されるかも。

https://service.salzburg.gv.at/lkorrj/detail?nachrid=66355&fbclid=IwAR3qDLKiuk8AIh0g4EGHawce0OJX2spwF0H7KrMUC0T06IVoLR87MCSv0ZA

 

 

2022.2.9

ウイーン歌劇場の「ピーター・グライムス」公演が終わりました。本当に薄氷を踏んでいるような、とにかく公演をキャンセルしないことを目標に頑張ってきたような歌劇場でした。でも完徹できてよかったです。この公演がDVD等になることを期待しましょう。

 

2022.2.7

カウフマンとターフェルのダブルインタビュー記事がでています(News 04/22, 2022.2.5、https://www.news.at/a/oper-kaufmann-terfel-interview?fbclid=IwAR2jZyczkBDWYWXJEL3ZwaobksYLyCyEeY5rqNKqEiSmm7YTzATmtyuykQA )。

 

主には「ピーター・グライムス」公演に関して、またパンデミックによるオペラへの又は個人的な影響について語っている長い記事ですが内容は興味深いです。私が面白いと思ったのは演出について語っているところで、いわば作曲家の目指すところとは全く異なる方向性を持つヘンテコ演出に関してです。

 

なんでも"パリオペラ座の「アイーダ」では演出家が「現代の白人女性として、慣習を受け入れることはできない、白人はアイーダを歌うことは許されない」といって白人のアイーダとアモナズロ役の歌手に代わりあの泥人形のようなパペットを使った"、とか。

 

あんれまあ、私は日本の文楽のように人形を使った高度な情感の表現を狙った演出が見事に失敗したのだと思っていましたが、なんとこのレベルの話でしたか。彼女の価値観で行けば、黄色人種の日本、中国、韓国人歌手はアイーダを歌う資格があるのかもしれません。

 

このオペラの演出家ロッテ・デ・ビアーはたしか今年からウイーンフォルクスオーパーのアーティスティック ディレクターになるはず。私の観点からみると、彼女の演出はなかなか良いものもあるのですが(バイエルンのプッチーニ「三部作」など)、パリオペラ座の「アイーダ」は受け入れがたいです (鑑賞記「パリオペラ座、アイーダ」)。

 

ところで、カウフマンによれば「この1年半の間で演出に対してあたらしい傾向がでてきて、ドラマから解離した作品に観客が拒否反応を示すようになってきた」のだそうです。

 

本当かどうか私にはわかりませんが、そうであればありがたいことです。これからも観客の皆さんが忌憚のない思いを舞台にぶっつけていただけると嬉しいです。(いつも作曲家を無視した演出家のひとりよがりヘンテコ演出に怒りを覚えるiltrovatoreの個人的感想です)

 

2022.2.5

Symone Young、Jonas Kaufmann、Sir Bryn Terfelが栄誉を受けたニュース。英語などの字幕をつけることができます。https://youtu.be/tSB-I5ikNFw

 

2022.2.3

Norman Lebrechtさんのレポート。2月2日のウイーン歌劇場「ピーター・グライムス」は19名のコーラスメンバーがコロナ陽性となりあわやキャンセルとなるところだったそうです。しかしウイーンの Arnold Schonberg コーラスが急な代役をボランティアで務めてくれたため、公演は開催されたということです。https://slippedisc.com/2022/02/19-jump-ins-save-last-nights-vienna-opera/

 

Jonas KaufmannとSir Bryn Terfelにオーストリア宮廷歌手の称号が授与され、Symone Youngはウイーン歌劇場の名誉会員に任命されました。

 

2022.2.2

ニュースでもなんでもないのですが、、、現在ウイーンで上演中の「ピーター・グライムス」、この「ピーター・グライムス」を今月の終わりからバイエルン歌劇場、来月中旬からROHでやるのですね。ちょっと見では今回のウイーン歌劇場が最も人気がありしかも実力のある歌手を集めているような感じです。

 

2022.1.30

ウイーン歌劇場「ピーター・グライムス」現在こちらのサイトで聞くことができます。おそらく本日を含め7日間は聞けるのではないかと思います。

 

2022.1.29

ウイーン歌劇場のFBより。

2022.2.2の公演後、ヨナス・カウフマンとサー・ブリン・ターフェルにオーストリアの "Kammersänger" の称号が授与され、Symone Youngはウイーン歌劇場の名誉会員に任命されるそうです。それに伴い2月2日の公演は18:30に開始されます。

 

ちなみにwikiによれば、「"Kammersänger"はドイツではあくまでも名誉称号だが、オーストリアではこの称号だけで生涯にわたって年金が付くシステムになっている」そうです。

 

2022.1.29

ウイーン歌劇場のFBより。”カウフマンがステージに立つ前に食べるものは?基本的にステーキより麺類だそうです。しかしピーター・グライムスの前はロールケーキだけだった。

 

昨日カウフマンは»Mittagspause mit Jonas Kaufmann« für Mitglieder des Offiziellen Freundeskreises der Wiener Staatsoper (ウイーン国立歌劇場の公式友の会を対象とした「ヨナス・カウフマンとのランチブレーク」)で話しました。内容はいろいろ、例えば公演のまえにやる儀式めいたこと、どうやって役に入り込むのか、一緒に食事をしたい作曲家は誰か、などなど。”

 

チケットはまだかえますよ、とかこのような特別イベントに参加したい方は「公式サークル」の会員になってください、というコマーシャル付き。確かにチケットは通常なら考えられないくらい沢山余ってます。そりゃ、行きたいのは山々ですが…

 

2022.1.28

★ 再掲:ウイーン歌劇場「ピーター・グライムズ」の放送予定はいまのところ現地時間1月29日19.00 → Ö1(ラジオ)しかないです。

 

★ ウイーン歌劇場の「ピーター・グライムス」の評論が出始めています。なかなか良い評判ではないかな。もう少し見てみます。

 

2022.1.27

ウイーン歌劇場が「ピーター・グライムス」関連記事をFBに載せています。

 

2022.1.25

ウイーン歌劇場の「ピーター・グライムス」最初のリハーサル映像。

 

2022.1.23

ウイーン歌劇場の「ピーター・グライムス」は1月26日からはじまります。

 

2022.1.20

ウイーン歌劇場のストリーミングは1月28日スペードの女王、2月8日「マノン・レスコー」と続きますが、、、、1月26日〜2月8日公演予定の「ピーター・グライムス」は出てこないですねえ…

 

2022.1.19

オーストリアでのコロナウイルス感染者は過去最高値を記録しているものの(1月18日現在)死者数はむしろ減少傾向にあります。そのためかどうかわかりませんが、オーストリア(ウイーン)はロックダウンせず、おかげで歌劇場も開催中。ヨナス・カウフマンは現在「ピーター・グライムス」のリハーサル中。公演2022.1.19

オーストリアでのコロナウイルス感染者は過去最高値を記録しているものの(1月18日現在)死者数はむしろ減少傾向にあります。そのためかどうかわかりませんが、オーストリア(ウイーン)はロックダウンせず、おかげで歌劇場も開催中。ヨナス・カウフマンは現在「ピーター・グライムス」のリハーサル中。初日は1月26日です。

 

初日は1月26日です

 

2022.1.13

あんれまあ、また新たにカウフマンのオペラ公演が増えました。

Teatro di San Carlo劇場支配人 Stéphane Lissnerの力はすごいですね。情報&スケジュールのページに入れておきました。

 

プッチーニ、トスカ

ナポリ、Teatro di San Carlo、2022.4.20, 23, 27, 30 

Oksana Dyka, Jonas Kaufmann, Iidar Abdrazakov

 

アブドラザコフがスカルピアですと、面白い。

 

追記:カウフマンはPiero Prettiの代役としてはいったのですね。なかなか豪華な代役です。

 

 

2022.1.12

ウイーン歌劇場のストリーミング情報は小出しにちょびちょび出ています。先々の予定を出しにくいのかもしれません。現在のところ「スペードの女王」までで「ピーター・グライムス」の放送予定は今のところ現地時間1月29日19.00 → Ö1(ラジオ)しかないです。

https://oe1.orf.at/programm/20220129/666550/Live-aus-der-Wiener-Staatsoper-Benjamin-Britten-Peter-Grimes?fbclid=IwAR1TphuRfdl0ts2GZvAdHzprmFMKh2h4JHTxOem4__av6q5s4DcRIbOGx3Q

 

2022.1.11

バイエルン歌劇場のOpera Festival 予約日程 

★外国歌劇場チケット購入システムのページ、バイエルン歌劇場の情報を更新しました。

 

★Opera Festival チケット申請

2022.1.31までに受け取った予約申請は2022.2.1より処理を始め3月中旬までには処理を終了するよていです。売れ残ったチケットは3月26日より販売開始です。

注文はこのサイトからどうぞ

https://www.staatsoper.de/en/kartenanfrage?tx_sfstaatsoper_cardorderlist%5Bactivity%5D=12951&tx_sfstaatsoper_cardorderlist%5Bcontroller%5D=CardOrder&cHash=368104524f0ae27da6dad0f8f38c5001

 

以前の注文形式と基本的には変わっていないです。少々見た目が変わったかなあ。

 

2022.1.10

Jonas Kaufmannは5月にメルボルンで「ローエングリン」を歌います。それに伴い、ダブルブッキングと思われる台湾でのコンサートやリサイタルはキャンセルされる可能性が高いのではないでしょうか。その後韓国でのコンサートが二つ予定されているらしいですが、それもどうなるかわかりません。

 

で、キャンセルはともかく残念なことに日本は始めからスルーされてます。まあ今までの来日コンサートなどの経過を考えると仕方ないかなあ、と思います。

 

日本の新国立歌劇場が「日本でのオペラの振興のために」とかなんとか名目をつけて演奏会方式のオペラでも提案したらどうかなあ、などと夢想しますが…

 

 

2022.1.5

今月末にウイーン歌劇場で上演される予定の「ピーター・グライムズ」。

 

さほど人気のないブリテン作曲のオペラ。舞台は田舎の漁師町で華やかさとは無縁の世界。主人公のグライムズはこの地域社会の人々から嫌われ除け者にされている気難しい人間。しかも彼が徒弟の死に責任がないかどうか聴衆にも本当のところはよくわからないので、彼に共感するのも難しい、、、。しかしブリテンの音楽は排斥された主人公の孤独な心理、残酷な社会に強要された彼の死の不条理さを浮かび上がらせ観客に複雑な感慨を抱かせる。

 

ブリテンがこのオペラを作曲した当時、同性愛は社会悪でした。同性愛者のブリテン(パートナーはテノール歌手のピーター・ピアーズ)の暗く孤独な心象をオペラに投影させたとも言われている。

 

精神的にクラッシュした、またはクラッシュしかかった人間を演ずるのがめっぽう得意なカウフマンなので、どのようなグライムズを創ってくれるのかえらく楽しみ。

 

著作権が生きているので詳しい解説も少なく対訳も無いですが、あらすじは

「ピーター・グライムス」(Wiki)。そして https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA

「ブリテンとピーター・グライムズを理解するための五つのキーワード」あたりを参考にされるとよいかと思います。 https://www.nntt.jac.go.jp/atre/12grimes/keyword/index.html

 

このオペラで比較的知られているアリアといえば、 "Now the great bear and Pleiades" 「今、地が動き、大熊座とスバルは人の悲しみの雲を描いている・・・」。テノールにとって丁度パッサージョのあたりで歌うのに神経を使うE音、限りなく続くそのE音が不思議な雰囲気を醸し出します。ブリテンは主人公グライムズにピーター・ピアーズを想定してこのオペラを書きました。下に出したYoutube(全曲)の45:10あたりからピアーズが歌うこのアリアが始まります。

 

ともあれ、公演がキャンセルされないよう祈ります。

https://youtu.be/SC1gg7NB9sE

 

2022.1.5

今月末にウイーン歌劇場で上演される予定の「ピーター・グライムズ」。

 

オペラ好き以外にはさほど人気のないブリテン作曲のオペラ。舞台は田舎の漁師町で華やかさとは無縁の世界。主人公のグライムズはこの地域社会の人々から嫌われ除け者にされている気難しい人間。しかも彼が徒弟の死に責任がないかどうか、聴衆にも本当のところはよくわからないので、彼に共感するのも難しい、、、。しかしブリテンの音楽は排斥された主人公の孤独な心理、残酷な社会に強要された彼の死の不条理さを浮かび上がらせ観客に複雑な感慨を抱かせる。

 

当時は同性愛は社会悪でした。同性愛者のブリテン(パートナーはテノール歌手のピーター・ピアーズ)の暗く孤独な心象をオペラに投影させたとも言われている。

 

精神的にクラッシュした、またはクラッシュしかかった人間を演ずるのがめっぽう得意なカウフマンなので、どのようなグライムズを創ってくれるのかえらく楽しみ。

 

著作権が生きているので詳しい解説も少なく対訳も無いですが、あらすじは「ピーター・グライムス」(Wiki) ( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA) そして「ブリテンとピーター・グライムズを理解するための五つのキーワード」(https://www.nntt.jac.go.jp/atre/12grimes/keyword/index.html)あたりを参考にされるとよいかと思います。

 

このオペラで比較的知られているアリアといえば、 "Now the great bear and Pleiades" 「今、地が動き、大熊座とスバルは人の悲しみの雲を描いている・・・」。テノールにとって丁度パッサージョのあたりで歌うのに神経を使うE音、限りなく続くそのE音が不思議な雰囲気を醸し出します。ブリテンは主人公グライムズにピーター・ピアーズを想定してこのオペラを書きました。下に出したYoutube(全曲, https://youtu.be/SC1gg7NB9sE)の45:10あたりからピアーズが歌うこのアリアが始まります。

 

ともあれ、公演キャンセルされないことを祈ります。

 

 

2022.1.2

あけましておめでとうございます。

昨日はウイーン歌劇場の「こうもり」ストリーミングを見ました。

昔ながらのオットー・シェンクの美しく華やかな演出。変化の早い現実世界が一方にあるけれど、古き美しき演出があいも変わらず毎年上演されるというのもまた良きかな。

 

本年はAndreas Schagerがアイゼンシュタインを歌っています。歌は朗々として軽く演技も上手いくてダンスも軽やか。今はヘルデンテノールになっていますが昔はオペレッタ歌手だったのですと。

 

あと気になったのは2人。オルロフスキーを歌ったメゾのChristina Bockは少々頭がいかれている超金持ちプリンスの感じを上手く出して演技していました。ウイーン来日公演ではオクタヴィアンが予定されているそうです(ってウイーン歌劇場はそもそも来日するのでしょうか)。

 

もう一人は日本人、Amako Hiroshi!といっても父親が日本人で母親が英国人。イギリスを本拠としている若手。現在はウィーン国立オペラ座オペラ・スタジオのメンバー。おそらく29歳。アルフレードを歌っています。典型的テノール体型がなんですが、日本人的癖のない伸びやかなテノールです。芝居も上手。日本だったらすでにトップ歌手になっているでしょうね。

 

日本時間1月2日10時の段階でまだストリーミングは続いています。ウイーン歌劇場は5日まで閉鎖されたので、なんとかストリーミングを延長してほしいなあ。