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2024.4.21

評論「ラ・ジョコンダ」公演 Teatro San Carlo公演を読んで。

 

10日のプレミエに関して「カウフマンとネトレプコが成功をもたらした。彼らの歌は優雅でフレージングは自然。彼女は完璧だが、彼は少々トラブルあり。・・・・テジエは素晴らしい。」と書いた評論(1:Giornale della Musica)が有りましたが、カウフマンのトラブルは相当だったようで、

 

「有名なアリア “Cielo e Mar” では咳払いが多く、レガートラインを通すのに苦労していた。・・・・彼が苦労しているのは自明だった。しかし彼は(現在の状況に)妥協せず、アリアに対する彼の芸術的ヴィジョンを損なわないよう最善を尽くしていた。」(2:Operawire) 

 

「彼は素晴らしい存在感、テクニック、優れた音色を持っている。しかし彼の声は非常に疲れているように聞こえた」(3:bachtrack)などと書かれています。

 

ところがOperawireは、1回目と2回目の公演両方を見たDavid Salazarによる補筆記事を追加しました(2)。その理由は2回目の公演内容が1回目と著しく異なっていたからです。

 

補筆記事を書いたDavid Salazarさんはその底知れないオペラの知識(全てのオペラの台本や楽譜をほとんど誦じているのではないかと思えるほど。声楽に対する知識も深い。)、音楽に対する鋭い感性、冷静な評価で私が最も尊敬かつ信頼する評論家です。

 

彼は「1つのパーフォーマンスだけを見て公演を評価するのには限界がある。複数のパーフォーマンスを見て評価するという考えを私は支持する。それゆえ今回の追加記事を書くことにした」と言っています。

 

その追加記事(2)では、

 

「確かに1回目の公演は主要な歌手達(アンナ・ネトレプコとヨナス・カウフマンのこと)が公演を歌いこなせるかどうか心配した。」 ちなみにネトレプコも調子が悪く、「最後の幕直前でほとんど声を失ったが歌い続けることに決めた」ことをソーシャルメディアで認めているそうです。

 

「カウフマンの初日は絶え間ない咳払いだった。しかし2回目は違った。レガートのラインの一部にまだ瑕疵があり、中音域にいくつかの音の乱れがあったものの、”Cielo e mar” はカウフマンの最高の状態であり、ラインは滑らか、柔軟性のある声で、このテノール歌手が最初の夜にしようとしていたのと同じ情熱的な表現だった。」

 

「(アリアの)最後のBフラットは、彼の十八番であるメッツァ・ディ・ヴォーチェで輝かしく歌った。・・・・聴衆は彼の演奏に熱狂し、”Cielo e mar” の終わりを盛大な拍手で迎えた。」「それはビンテージのカウフマンでパーフォーマンスの間ずっとテナーは最高の状態を保ち続けた。」

 

と書かれています。さらに、

 

アンナ・ネトレプコも復活。彼女とカウフマンとの絡みも前回よりリラックスして大胆。さらに彼女とテジエのやりとりも素晴らしく改善されていたようです。書き遅れましたが、リュドヴィック・テジエはほぼ完璧で、どの評論でも絶賛されていました。

 

最後に「この2回目の公演が1回目の公演に期待していた全てを満たしていた。」 とDavid Salazarさんは書いています。

 

ところで、1回目の公演にはカメラが入っていたが、2回目の公演にカメラは見当たらなかったそうです。3回目の公演はどうだったか不明。

 

1. Giornale della Musica, 12 APRIL 2024, by Salvatore Morra

https://www.giornaledellamusica.it/recensioni/trionfale-gioconda

2. Operawire April 12,2024, by Francisco Salazar + 追記 by David Salazar

https://operawire.com/teatro-san-carlo-2023-24-review-la-gioconda/

3. Bachtrack 12 April 2024, by Lorenzo Fiorito,

https://bachtrack.com/review-gioconda-netrebko-tezier-kaufmann-gilbert-steinberg-teatro-san-carlo-naples-april-2024

(2024.4.20 wrote)

 

2024.4.20

テアトロサンカルロでの全4回の公演は16日に終わりました。が、1回目と2回目の評価が全く異なるという珍しいケースになりました。評論は近々に。

 

2024.4.15

テアトロサンカルロでの公演演は残り一回。

https://twitter.com/teatrosancarlo/status/1779173991875313719

 

2024.4.11

グラモフォン、インタビュー記事を読んでの感想(1)。

Gramophone by Mark Pullinger 2024.4.5

 

https://www.gramophone.co.uk/features/article/jonas-kaufmann-interview-i-could-sing-parsifal-many-times-every-year-but-i-don-t-it-s-too-precious-to-just-use-it-as-a-vehicle-to-make-money?utm_term=Autofeed&utm_campaign=Echobox&utm_medium=Social&utm_source=Twitter#Echobox=1712349425

 

このインタビューはGramophone3月号に掲載されたものですが、4月にネット公開されました。

 

ヨナス・カウフマンの「パルジファル」に対する想いやプッチーニのオペラの特性(特に「トゥーランドット)」などに対する考えがよく表されていて面白かったです。

 

とにかく長〜〜いインタビューなので、私の興味を引いた部分だけを感想を交え書いてみます。私が飛ばした部分にも面白いことがたくさん出ていたのでインタビュー全体をご覧になりたい方はこちらの元文をお読みください。

 

インタビューの多くを占めるのは「パルジファル」関連記事。ウイーン歌劇場での無観客公演「パルジファル」のCDが売り出されたのでその宣伝もあるのでしょう。彼は今回のCDについて共演者エリナ・ガランチャ、ルドヴィク・テジエ、ゲオルグ・ツェッペンフェルトを賞賛していますが、演出については批判しています。

 

彼は以前から「演出家は作曲者の意図を尊重しなければならない。もし演出家が作曲家の意図を無視し、演出家独自の考えでオペラを上塗りしようとすると音楽と演出とが乖離する。そうすると歌手が舞台で心を込めて歌うのが難しくなる」と力説しています。今回も似たようなことを、角が立たないように婉曲的で抽象的な一般論として語っています。

 

彼としては、今回の「パルジファル」は(DVDでなく)CDで出すのが良いと思っているようです。

 

もう一つ私が興味を持ったのはワーグナー作品の歌い方とテノール役の特性について

 

彼によれば「ドイツ語はザラザラしていて滑らかではないと評価されている。それなのに(そのドイツ語を)可能な限りレガートで歌わねばならないのは― とりわけネイティブスピーカーにとって ー大変な挑戦である」。

 

「ワーグナーの役は歌うよりも吠えることが多かった時代があった。ワーグナー歌いとしてはオーケストラピットを超えて歌の大きなラインを観客に届ける強力なパワーを持たなければならない。しかし同時に美しさ、新鮮さ、そして真のワーグナーを理解するために必要なベルカント的フレーズを持たなければない。」とおっしゃっておられます。

 

(ただし上記は彼の主張です。ワーグナーの歌い方に関して異なった考えを持っているグループも存在します。Iltrovatore)

 

又テノール役の音域について、「一般的にヴァルター、ローエングリン、タンホイザーなどは比較的高いテッシトゥーラ(音域)部分がある。一方パルジファルとジークムントは相対的に低い。パルジファル、そして更に低く英雄的なサウンドが必要なジークムントを歌うのは自分にとって比較的楽」と述べています。

 

いずれにしても、「ワーグナーの高音はA♭かA、それがマックス。」とおっしゃっていますが、本当ですか?もしご存じの方がいらっしゃいましたらお教えください。

 

ちなみに、彼はもともと広い音域を持つ歌手ですが、「自分は男性の全音域を持っていて、誰も聞きたくはないだろうが、理論的にはザラストロも歌える」と言っています! 確かザラストロは低音Fまであってバス歌手でもこの音を美しく響かせるのは2024難しいです。

 

次回はプッチーニその他、および将来歌いたい役についてのコメントです。(2024.4.10 wrote)

 

 

2024.4.11

The Teatro San Carloでの「ジョコンダ」が始まりました。こちらの方はトラディッショナルな演出の様に見えます。https://www.youtube.com/shorts/l-Xgvf3D4hs

 

2024.4.6

外国歌劇場バックステージツアー情報:各歌劇場のシステム変更が多数あり、多くのリンクが切れていたため書き直しました。しかし変更多すぎ。もし間違えがあったら連絡をいただければ嬉しいです。

 

2024.4.5

The Teatro San Carloでの「ジョコンダ」で、ラウラ役がAnita RachvelishviliからEve-Maud Hubeaux に変わりました。Eve-Maud Hubeauxはつい最近のザルツブルク「ジョコンダ」にラウラ役で出演していたメゾです。しかし、アニタさんのキャンセルは、悲しいです。

https://www.teatrosancarlo.it/en/spettacoli/la-gioconda-23-24.html

 

2024.4.4

Teatro San Carloでの「La Gioconda」 記者会見。カウフマンも出席。

https://www.facebook.com/photo?fbid=819132660242304&set=a.641645917990980

 

2024.4.1

La Giocondaの評論を読んで

 

ザルツブルクの「ジョコンダ」はAnna Netrebko, Jonas Kaufmann, Luca Salsi と人気歌手を集めた注目の公演です。

 

今回はOliver Mearsによる新演出でした。が、、、、、

 

現代に舞台を移したのは問題ないとしても、その演出では:ジョコンダの母親はジョコンダを使って金を巻き上げる、司法長官(ラウラの夫)とバルバナはジョコンダに腹を刺されて死ぬ、ところがジョコンダは死なない、と台本無視の演出だったようです。

 

「粗雑な筋書きと部分的にしか一貫性のない演出」(1)、「異様な試みで演出家は観客に寛容さを要求する」 (1) とか書かれております。このような評論から判断するに、今回の演出は「自殺」がテーマのこのオペラの音楽とマッチせず、演出家の一人勝手演出のようになったのではないかと思えます。

 

今回の公演で最も注目されたのはネトレプコ。フェスティバルホール前ではネトレプコ出演に対する非難のデモが繰り広げられていたようですが、私が読んだいくつかの評論は全て彼女に好意的でした。

 

そのネトレプコですが、絶賛している評論が多いです(1,2,3)。ジョコンダは中音域の多い役 (2) なので、音質が暗めで中音域が豊かに充実した彼女の声にはピッタリ合っていると思われます。

 

さてカウフマンです。「彼はイタリアオペラの最も困難なテノール役を輝かしい高音で歌い上げる」(4)。特に有名なアリア "Cielo e mar" では「膨らんで盛り上がる最後の音を含め、声の揺らぎと広がりが完璧にブレンドされた発声表現」(2)、などと評されていますが、それ以外は「不必要に控えめ」(1)、「ハンドブレーキオン」の状態であった(2)と書かれています。

 

カウフマンが演じるエンツォは分別のない軽薄な青年貴族です。バルナバに操られた彼の軽率な行動は自らを含めラウラやジョコンダを危機的状況に陥れます。しかしジョコンダの大いなる自己犠牲に助けられ、彼は幸せいっぱいでヴェネチアを去ってゆきます。ただし、彼が彼女の犠牲の重みを理解できているとは思えません。

 

ですからこのようなキャラクターを歌うのは能天気で若々しく明るい声の持ち主が似合うような気がします。

 

さらにこのオペラを牽引するのはジョコンダとバルナバでありエンツォではありません。ですからカウフマンがあまり大きな存在感を出してしまうとストーリー上のバランスが悪くなるし、などと思うので、彼が控えめに歌っているのも、まあそれも悪くはないのではないか、と考えてしまいます。

 

1.BR Klassik 2024.3.24  von Franziska Stürz

https://www.br-klassik.de/aktuell/news-kritik/la-gioconda-ponchielli-salzburger-osterfestspiele-100.html

 

2.Merkur 2024.3.24 von Markus Thiel

https://www.merkur.de/kultur/la-gioconda-osterfestspiele-salzburg-anna-netrebko-jonas-kaufmann-antonio-pappano-ponchielli-kritik-zr-92910385.html

 

3. Der Standard 2024.3.24 von Ljubiša Tošic

https://www.derstandard.at/consent/tcf/story/3000000213077/la-gioconda-mit-anna-netrebko-und-jonas-kaufmann-in-salzburg

 

4. Opera Online 2024.3.24 von Dr. Helmut Christian Mayer

https://www.opera-online.com/de/columns/hmayer/la-gioconda-bei-den-salzburger-osterfestspielen-leidenschaften-nur-im-musikalischen?fbclid=IwAR2Hw3tP5atkJxAjJ5GyAs4J6YeM0Nxzgi8LqdXysZoqHGtHYx923F6aHH0

 

2024.3.30

Il Giornoによると、ミラノスカラ座の2024/25シーズン開幕公演 (12月7日)は「運命の力」。出演は

Anna Netrebko, Jonas Kaufmann, Ludovic Tezier. 指揮Riccardo Chailly、演出Leo Muscatoになるそうです。

https://www.ilgiorno.it/milano/cultura/scala-stagione-2024-2025-11f6e917

 

Anna Netrebko, Jonas Kaufmann, Ludovic Tezier、、、あれあれ2019年ROH「運命の力」公演と同じ主要メンバーです。その時は大変素晴らしい公演でしたが (参考までに、観賞記:運命の力)、5年過ぎた現在ではどうでしょう。

 

この公演はいずれNHKで放送されるだろうと思います。

 

2024.3.23

本日ザルツブルクでの「ジョコンダ」公演が始まります。

https://youtu.be/NwS1oB95a3E?si=L8zcprygDElL5bm-

 

2024.3.21

ザルツブルクでの「ジョコンダ」公演は明後日から。3公演ありますが、全て完売なので、もしネトレプコ&カウフマンの「ジョコンダ」を聴きたいと思われる方はナポリ公演の4月7日しかないです。発売が始まったばかりですし、この講演があるとの情報も行き渡っていないのでかなり沢山の空席があります。ただしカウフマンの正式スケジュールにはまだ掲載されていません。

 

2024.3.19 

テアトロ・サン・カルロでの「ジョコンダ」が1日増え4月7日にも公演があります。

https://www.teatrosancarlo.it/en/spettacoli/la-gioconda-netrebko-2024.html

既定の3公演は全て完売なので4月7日のみまだチケットを買うことができます。

 

この公演はアンナ・ネトレプコの舞台デビュー30周年を祝しての特別公演で、共演者もAチーム (Anita Rachvelishvilli, Jonas Kaufmann, Ludovic Tezier)となります。

ちなみに、Bチームの出演者はLianna Haroutounian、Anna Maria Chiuri、Angelo Villari、Ernesto Petti。

 

ただし、これは劇場側の発表で、カウフマンの正式スケジュールにはまだ掲載されていません。

 

2024.3.16

バイエルン歌劇場2024/25スケジュールの発表がありました。

Jonas Kaufmann出演演目は新演出の「道化師」。「カヴァレリア・ルスティカーナ」とのダブルビルですがカウフマンが出るのは「道化師」だけです。配役は、

Nedda:Ailyn Perez

Canio:Jonas Kaufman

Tonio:Wolfgang Koch

Beppo:Granite Musliu

SilvioMattia Olivieri

 

日程 2025.5.22/5.29/6.1/6.4/6.8/7.9/7.12

さらに、2025.7.26に”Festival song evening Jonas Kaufmann”があります。ピアノ伴奏はもちろんHelmut Deutsch。

ちなみに、「カヴァレリア・ルスティカーナ」はYulia MatochkinaとVittorio Grigoloが出演します。

 

2024.3.16

ザルツブルクイースターフェスティバル「ジョコンダ」の座席リハーサル風景

https://www.facebook.com/osterfestspiele/posts/916677523796703?ref

 

2024.3.7

Rehearsals for “La Gioconda”

https://twitter.com/tenorkaufmann/status/1765366091134517648

 

2024.3.5

テアトロ・サンカルロでの公演。ナポリの歌劇場は美しいですね。

https://twitter.com/teatrosancarlo/status/1764626092508229927

 

2024.3.3

Jonas Kaufmannは“The sound of movies”ツアーをほぼ終えました(5月に一回残っている)。現在ザルツブルクで「ジョコンダ」のリハーサルを行なっている模様です。

 

最近のインタビュー(1)によれば、「(ジョコンダのエンツォ・グリマルドは)とても難しい役です。メロディーはとても美しいけれど、ストーリーは少し複雑です。ほとんど上演され無い作品でカラスの名前と紐つけられています。ネトレプコはこの役に挑戦することを決めました、そして僕も同様です。僕たちはキャリアー上よく似たステージにいます。若くはないけれど年取ってはいない。僕らはザルツブルクで自分自身を奮い起こしたいのです。」と言っています。

 

カウフマンは以前演奏会方式でこの役を歌ったことがありますけれど、舞台では初めてです。「ジョコンダ」はザルツブルクに引きナポリでも上演されます。ネトレプコとカウフマンは両方とも出演しますが、敵役バルバナはルカ・サルシ(ザルツブルク)からリュドイック・テジエ(ナポリ)に変わります。いずれにしても良いメンバーです。私といたしましては、ザルツブルクの場合はNHKに頑張ってもらうか、ナポリならば有料ストリーミングをお願いしたいところです。

 

1.Il mattino 2024.3.2 di Donatella Longobardi, Kaufmann torna a Napoli: «Come Caruso amo la vita» 

 https://www.ilmattino.it/spettacoli/musica/kaufmann_napoli_come_caruso_amo_la_vita-7968346.html 

2024.2.27

“The sound of movies”ツアーはスメタナホールでの公演を終え、次は3月2日のテアトロ・サン・カルロです。

 

2024.2.24

Operawireの記事(1)が、財政的困難によりMETの2024/25シーズンはいくつかの新演出を延期することになったと伝えています。さらにMET HDの演目も8つ(従来は10)に減らされています。

 

また、この記事ではAP article(2)に出ていた今年度のオペラ公演のチケット販売率を紹介していて、

 

”(Malcolm) X” 78%、”Florencia en el Amazonas” 68%, “Dead Man Walking”62%

一方クラッシックな演目、”カルメン” 84%、 “魔笛”87%、“ボエーム”74%、”ナブッコ” 71%, “タンホイザー” 64%、”仮面舞踏会” 56%、だそうです。

 

これらの情報からiltrovatoreが推察するに、新作でもクラシカルな演目でもウイーン歌劇場などの販売率には遠く及ばないのがMETの現状です。公的な補助で支えられている歌劇場(ヨーロッパ、特にドイツ)と異なり、公的な援助がほぼ無いMETでのチケット販売率の低さはこれからも深刻な問題であり続けるでしょう。

 

1. https://operawire.com/metropolitan-opera-cuts-one-production-for-2024-25-season-decreases-hds/

2. https://www.news4jax.com/entertainment/2024/02/21/financially-struggling-met-opera-to-present-18-productions-next-season-the-fewest-since-1980-81/

 

2024.2.23

MET 2024/25スケジュールが発表されました。MET ライブビューイング予定は海外歌劇場&streamingのページ、METの項にまとめてあります。

 

ETライブビューイングになる演目を見て、少々のコメント。

「ホフマン物語」Benjamin Bernheimが出演。Vasilisa Berzhanskayaは最近人気が出てきたメゾの若手。

「トスカ」Lise DavidsenとFreddie De Tommazoが出演。両人とも声・歌唱とも相当の実力があり人気爆上げ中。

「アイーダ」画像で見たかぎり、ヘンテコな時代読み替え演出ではないと想像している。

「セヴィリアの理髪師」メゾのAigul Akhmetshina,とMETデビューのJack Swansonに注目。Swansonは1992年生まれ。高い技術と余裕のハイCを持つリリックテノール。

 

2024.2.22

 

新国立劇場オペラ 2024/25スケジュールが発表されました。海外歌劇場&streamingのページ、新国立の項にまとめてあります。新国立劇場の情報ページはこちら https://www.nntt.jac.go.jp/opera/variety/

 

2024.2.22

新国立劇場オペラ 2024/25スケジュールが発表されました。海外歌劇場&streamingのページ、新国立の項にまとめてあります。新国立劇場の情報ページはこちら(https://www.nntt.jac.go.jp/opera/variety/)

 

ちらっとみたところ、ローレンス・ブラウンリー、オルガ・ペレチャッコ、エフゲニー・ニキティン、ローザ・フェオーラなど、世界トップ歌劇場の常連歌手も出演するようです。

 

パヴォル・ブレスリック、アタラ・アヤンの二人も舞台で聞いたことがありますが、なかなか良い声をしていると思っています。出演者の皆様願わくばキャンセル無きようお願いします。

 

2024.2.21

"The Sound of movies " ツアーが再開されました。

https://www.facebook.com/kaufmannjonas/posts/965809718248174?ref=embed_post

 

2024.2.16

バイエルン歌劇場の2024/25スケジュールは2024.3.16, 10am (現地時間)に発表されます。MET2024/25のスケジュール発表は2024.2.21, 12PM(現地時間)

 

2024.2.3

2月4日予定の"The Sound of Movies"コンサートは病気のため5月7日に延期です。

 

2024.2.1

あんれまあ、2月2日の"The Sound of Movies"コンサートは病気のため3月2日に延期です。

 

2024.1.21

フランツ・ベッケンバウアーの追悼式で歌うヨナス・カウフマン

https://youtu.be/vHr1TWb_gkQ?si=3rnSod51mCyhje2Q

https://youtu.be/9aD8YhuyfQA?si=XkIpfn-w8Yg-pRqH

 

2024.1.20

海外歌劇場シネマ&ストリーミングページに「ミラノスカラ座 LaScala TV  2024年ライブストリーミング予定」を追加しました。なかなか面白そうな演目が並んでいます。

 

2024.1.19

ヨナス・カウフマンは、1月19日(金)アリアンツ・アレーナで行われるフランツ・ベッケンバウアーの追悼式で3曲を歌います歌うのは Time to say Goodbye」(イタリア語版「Con te partiro」)「E più ti penso」「Nessun dorma」。この追悼式はARD,BR,RTL,ntvで生中継されます。

 

2024.1.18

バイエルン歌劇場 Oper für alle 「トスカ」 2024.7.27 live broadcast 予定の公演、Anja Harterosは2024年も歌わず、代役はEleonora Burattoになりました。

 

2024.1.14

ヨナス・カウフマンがフランスからChevalier de l’Ordre national de la Légion d’honneur (レジオンドヌール勲章、シェヴァリエ)を授与されました。レジオンドヌール勲章はフランスの最高位の勲章とされています。

 

「フランスオペラを世界の劇場での重要演目に仕立て上げた芸術の巨匠に対する叙勲」と駐オーストリア・フランス大使Gilles Pécoutが述べています。こちら(https://jonaskaufmann.com/en/news/)。

https://twitter.com/tenorkaufmann/status/1746263282632069493

 

2024.1.11

ディアナ・ダムラウが『オペレッタ~ウィーン・ベルリン・パリ』というアルバムを出しました。全18曲のうち3曲(以下)をヨナス・カウフマンとデュエットで歌っています。

 

コルンゴルト、オペレッタ「愛の歌」、「少し浮気」

シュトルツ、オペレッタ「白馬亭にて」、「私が愛する歌はワルツ」

ホイベルガー、オペレッタ「オペラ舞踏会」、「別室へ行きましょう」

https://publish.twitter.com/?query=https%3A%2F%2Ftwitter.com%2Ftenorkaufmann%2Fstatus%2F1745058014367760781&widget=Tweet

 

2024.1.10

評論「ベルリンフィル ジルベスターコンサート、ワルキューレ第1幕」を読んで、

 

年末に3日連続で恒例のベルリンフィルのコンサートがありました。今年はワーグナーで、前半が「タンホイザー」の前奏曲とヴェーヌスベルクのバッカナールのセット。後半が演奏会方式での「ワルキューレ」第1幕で、どちらかと言うと後半がメインの公演でした。ちなみに公演は全て完売。

 

さて「ワルキューレ」第1幕です。カウフマンの歌はまだいくらか声を押している感があるものの、以前(1年以上昔)のように歌っているなあなどと思いながら聞いていました。私的には彼の歌が上手かったとかなんとかよりも、とにかくちゃんと歌えるように戻ったのが嬉しい。

 

いくつかの評論を見るに、ヨナス・カウフマンは高評価。

 

「ヨナス・カウフマンが歌うのは大いなる喜びだ。大規模なコルチゾン治療の後、彼は再び力強く輝いている。世界的に有名でありながら、とても気取らないこのスターは、最近いったい何度、出演を短縮したり、出演を取りやめたりしたことだろう。」(1)

 

「今は--2022年のベルリン大晦日コンサートとは違い--もう(彼の)咳は聞こえない。その代わり、完璧な高音と彼の特徴であるブロンズバリトンが戻ってきた。」(1)。(なるほど昨年の暮れはすでに多剤耐性菌に感染していて公演中でも咳が酷かったんでしょう。)

 

「ヨナス・カウフマンは、せきたてられるヴェルズング族の若者の姿を説得力たっぷりに描き出し、魅惑的な “Winterstürme”では叙情的なハーモニーを聴かせる。彼の” Wälse”への呼びかけは記録的な長さで、最後の「Wälsungenblut」は情熱的な輝きを放っている。後になればこのテノールがなぜこれほど有名なのかが改めてわかるだろう。彼のテキストの理解力は素晴らしい。」(2)

 

「ヨナス・カウフマンは、舞台では常にその人気ゆえ(上手く歌わなければならないという)重荷を背負わなければならないが、今晩は完璧な説得力がある。」(2)

 

「幸いなことに、ヨナス・カウフマンが絶好調で戻ってきた。彼は魅力的で多彩な色彩感を持つ逞しい英雄的テノールで、ヴィッカーズを彷彿とさせる。よくサポートされた(しっかりと支えられた)弱音から勇壮なアタックまで多様なやり方で暗い情熱をたぎらせる。”ヴェルゼ”は終わりがないかのようで、「冬の嵐」は叙情的なエクスタシーへと花開く。」(3)

 

「(彼は)魅力的なキャラクターを描き出す。それは知的な言葉と音色が共存し、楽々と(のように見える)ドラマチックな力を発揮する点において、最も偉大な先人達(が表現した)キャラクターに匹敵しうる」(3)

 

などと誉められています。

 

共演者のソプラノ、Vida Miknevičiūtė。この方は昨年テアトロ・サンカルロでの「ワルキューレ」でもカウフマンと共演していましたが、今回も大変良い評価をもらっています。体つきはスリムですがとても魅力的な表現ができる方のように感じられます。

 

そういえば、彼女を「可能性を秘めた若手ドラマティックソプラノの3人の中の一人」と評している人もいました。その3人とは、アスミック・グリゴリアン、リセ・ダヴィッドセン、そして今回のヴィダ・ミクネヴィチュテだそうです(4)。

 

またフンディング役のGeorg Zeppenfeldもいつものように好評だったのですが、ストリーミング時はキャンセルで、彼の代わりにTobias Kehrerがジャンプインで歌いました。この方も好評でした。

 

最後に、「3人のソリストがこれほど上手に歌えるのは、主にキリル・ペトレンコのサポートのおかげだ。 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で指揮をしているものの、ペトレンコは傑出したオペラ指揮者であり続けている」(4)、というコメントは付け加えなければならないでしょう。私的には激しく賛同いたします。

 

1. Online Merker  2023.12.31 von Ursula Wiegand  

2. Klassik begeistert  Peter Sommeregger, December 30, 2023

3. Online Merker 2024.1.1 von Dr. Ingobert Waltenberger

4. ResMusica January 1 , 2024 by Dominique Adrian

 

1. https://onlinemerker.com/berlin-philharmonie-silvesterkonzert-mit-wagner-vida-mikneviciute-und-jonas-kaufmann/

2. https://klassik-begeistert.de/s-i-l-v-e-s-t-e-r-k-o-n-z-e-r-t-richard-wagner-philharmonie-berlin-29-dezember-2023/

3. https://onlinemerker.com/berlin-zoopalast-silvesterkonzert-der-berliner-philharmoniker-live-im-kino-wagnersternstunde/

4. https://www.resmusica.com/2024/01/01/a-berlin-la-saint-sylvestre-est-wagnerienne-avec-petrenko-et-kaufmann/

 

2024.1.1

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 

2023年ベルリンフィルジルベスターコンサートに関して

 

演奏が始まる前にオーケストラ団員、キリル・ペトレンコ、そして「ワルキューレ第1幕」演奏の前にヨナス・カウフマンへのインタビューがありました。

 

インタビューの内容をいくつか報告します。1回聞いた私の記憶のみに頼っているので不正確なところがあればお知らせください。

 

1. オーケストラ団員へのインタビュー

・「ワルキューレ」は第1幕はlow register (主に低音を担う)の楽器が活躍するが、第3幕はhigh resister (主に高音を担う) 楽器が活躍する。 

・ワーグナーはライトモチーフ、特定の人物や事象に対して使われる特定の短いフレーズ(動機)を使っている。例えばジークリンデがフンディングのことを考える時:フンディングがその場にいなくても、フンディングのライトモチーフが演奏されると彼女が彼のことを考えているのがわかる。

・このようなライトモチーフは「スターウォーズ」でも使われている。例えばダス・ベーダーのライトモチーフ。

(ついでに言うと、映画「指輪物語」でもライトモチーフが採用されています。iltrovatore)

 

2. キリル・ペトレンコへのインタビュー

・「ワルキューレ第1幕」はコンサート形式での演奏にフィットする。登場人物が3人しかいないとか。

・ワーグナーはオペラの改革者である。彼は自分で台本を書いているが、ト書きに書かれている内容も音楽が表現している。

・ワーグナーは決して大きな音を要求していない。

 

3. カウフマンに対するインタビュー

・基本「ワルキューレ」の粗筋と「ニーベルングの指輪」の説明を少々。

・「ワルキューレ」でジークムントは第1幕(ちょっとだけ第2幕)を歌うだけだが疲れる。

 

演奏会への評論がいくつか出始めたので近々報告する予定です。ちなみにカウフマンの歌は全体的に観て良かったと考えています。録画を聞いた限りですが、ごく小さな瑕疵がいくつかはあったけれど、レガートな歌いぶりで、歌が大きなアークを作っているのがわかります。やっぱりカウフマンはカラフよりジークムントの方がフィットすると思いました。