今年のカウフマン出演オペラは少な目です。・・・のはずが結局例年と同じくらいになった。
ヴェルディ、運命の力、ミュンヘン、バイエルン州立歌劇場
2021.9.26, 29 & 10.2
出演予定: Jonas Kaufmann, Anja Harteros, George Petean, Ekaterina Semenchuk, Ambrojio Maestri 指揮:Andrea Battistoni, 演出: Martin Kusej
このオペラは以前カウフマン・ハルテロス(バイエルン歌劇場)、カウフマン・ネトレプコ(ROH) の組み合わせで歌っています。Ekaterina SemenchukのプレツイオジッラとAmbrojio Maestriのメリトーネ修道士は良いなあ。 参考:オペラ解説「運命の力」、鑑賞記「運命の力」(バイエルン歌劇場 2014)、(ROH 2018)
2014 バイエルン歌劇場 第3幕「人生は不幸なものにとって地獄だ」
ヴェルディ、オテロ、ナポリ、Teatro di San Carlo (新演出)
2022.11.21, 24, 28 & 12.1, 4
出演予定: Jonas Kaufmann, Maria Agresta, Igor Golovatenko, 指揮:Michele Mariotti, 演出Maario Martone
元パリオペラ座のGeneral Manager Stéphane Lissnerがこの歌劇場に移って以降、カウフマンがこの劇場で歌う機会が増えました。カウフマンはROH及びバイエルン歌劇場で「オテロ」を歌っています。Maria AgrestaとはROHの「オテロ」で共演しています。 参考:オペラ解説「オテロ」、鑑賞記「オテロ」2017
2017 ROH 第1幕愛の二重唱 (カウフマン&アグレスタ)
ベンジャミン・ブリテン、ピーター・グライムス、ウイーン、ウイーン国立歌劇場
2022.1.26, 29 & 2.2, 5, 8
出演予定: Jonas Kaufmann, Lise Davidsen, Bryn Terfel、指揮:Simone Yong、演出:Christine Mielitz
ヨナス・カウフマンの初ロール。地域社会(漁村の人々)から疎まれついには自殺を強要される男の物語。社会に溶け込めない孤独な男グライムスの心のうちを表現するのはカウフマンの得意とするところでしょう。これは楽しみ。
追記(2022.1.6) ニュース欄に書いたものを転記。
さほど人気のないブリテン作曲のオペラ。舞台は田舎の漁師町で華やかさとは無縁の世界。主人公のグライムズはこの地域社会の人々から嫌われ除け者にされている気難しい人間。しかも彼が徒弟の死に責任がないかどうか、聴衆にも本当のところはよくわからないので彼に共感するのも難しい、、、。しかしブリテンの音楽は排斥された主人公の孤独な心理、残酷な社会に強要された彼の死の不条理さを浮かび上がらせ観客に複雑な感慨を抱かせる。
ブリテンがこのオペラを作曲した当時、同性愛は社会悪でした。同性愛者のブリテン(パートナーはテノール歌手のピーター・ピアーズ)の暗く孤独な心象をオペラに投影させたとも言われています。
精神的にクラッシュした、またはクラッシュしかかった人間を演ずるのがめっぽう得意なカウフマンなので、どのようなグライムズを創ってくれるのかえらく楽しみ。
著作権が生きているので詳しい解説も少なく対訳も無いですが、あらすじは「ピーター・グライムス」(Wiki)。そして 「ブリテンとピーター・グライムズを理解するための五つのキーワード」あたりを参考にされるとよいかと思います。
このオペラで比較的知られているアリアといえば、 "Now the great bear and Pleiades" 「今、地が動き、大熊座とスバルは人の悲しみの雲を描いている・・・」。テノールにとって丁度パッサージョのあたりで歌うのに神経を使うE音、限りなく続くそのE音が不思議な雰囲気を醸し出します。ブリテンは主人公グライムズにピーター・ピアーズを想定してこのオペラを書きました。下に出したYoutube(全曲)の45:10あたりからピアーズが歌うこのアリアが始まります。
1969 BBC telecast 全曲
グライムスを歌っているのはピーター・ピアーズ。彼は作曲者ブリテンの生涯のパートナーで(ブリテンは同性愛者だった)、ブリテンはピアーズを想定して「ピーター・グライムス」を作曲しました。
プッチーニ、トゥーランドット (コンサート形式)、 ローマ、サンタ・チェチリア国立アカデミア
2022.3.12 特別公演
出演予定:Sondra Radvanovsky, Ermonela Jaho, Jonas Kaufmann, Michael Spyres, Michele Pertusi、指揮:Antonio Pappano
「トゥーランドット」 CD制作の後、一回だけのコンサート形式公演。ヨナス・カウフマンの初ロール。Michael Spyresのお父さん役Altumも聞きたい。参考:オペラ解説「トゥーランドット」
第3幕 「誰も寝てはならぬ」
プッチーニ、トスカ、 ナポリ、Teatro di San Carlo
2022.4.20, 23, 27, 30
Oksana Dyka, Jonas Kaufmann, Iidar Abdrazakov
ROH 第1幕 「絶えなる調和」
ワーグナー、ローエングリン、メルボルン、Arts Centre Melbourne
2022.5.14, 17, 21, 24
出演予定:Emily Magee, Elena Gabouri, Jonas Kaufmann, Marco Vratogna その他
カウフマンはローエングリンをバイエルン歌劇場、バイロイト、ミラノスカラ座、パリオペラ座で演じています。バイロイトでは言葉の扱いに関してバイロイト側と対立し、公演自体は非常に好評だったものの劇場側と決裂しそれ以降バイロイトでは歌っていません。過去に歌った「ローエングリン」でエミリー・マギー(エルザ役)と共演したことがあります。
2009 バイエルン歌劇場 第3幕 "In fernem Land"
マスカーニ、カヴァレリア・ルスティカーナ/レオンカヴァッロ、道化師、ロンドン、ROH
2022.7.5, 8, 11, 14, 17, 20
出演予定:
カヴァレリア・ルスティカーナ Jonas Kaufmann, Anita Rachvelishvili, Dimitri Platanias, Aigul Akhmetshina, Elena Zilio
道化師 Jonas Kaufmann, Dimitri Platanias, Ermonela Jaho, Mattia Olivieri, Egor Zhuravskii
指揮:Antonio Pappano,演出:Damiano Michieletto
このダブルビルをカウフマンが演じたのは2015年ザルツブルグ祝祭大劇場での公演だけ。これも楽しみ。ROHシネマで日本でも上映してくれないものか。アニタさんのサントゥツアは期待します。 参考:オペラ解説「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」
2015 ザルツブルク祝祭大劇場「母さん、あの酒は強いね」
ベートーベン、フィデリオ(コンサート形式)
出演予定:Anja Kampe, Jonsa Kaufmann, Matthias Winckhler, Falk Struckmann, Andreas Bauer Kanabas その他
GSTAAD FESTIVAL:スイス、Gstaad、Gstaad Festival Tent 2022.8.11
GRAFENEGG FESTIVAL:オーストリア、Grafenegg 2022.8.13, 14
2015 Salzburger Festspiele "Gott, welch Dunkel hier!"
(2021.08.17 wrote) 映像・音楽に戻る。